
誰にでも、運が悪いと思うことありますよね。そんな不運に上手に対処できれば、人生は楽しくなるのではないでしょうか。
どうすれば、人生の困難をうまく乗り切れるのか。その答えのひとつが「ご機嫌な脳」だというのは、脳内科医で、「脳の学校」代表でもある加藤俊徳先生。脳を120%活かすカギは上機嫌。脳のパフォーマンスは機嫌によって大きく変わるのだそうです。
加藤先生の最新著書『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』(SBクリエイティブ)には、脳を上機嫌の状態に保つためのメソッドが紹介されています。毎日をもっとご機嫌に過ごしたい、不機嫌な自分とさよならしたい、周りの不機嫌に振り回されたくない。そんな悩みの答えがここにあります。
そこで、今回は『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』から、脳が不機嫌な時の対処法をご紹介します。体の不調と同じで、脳が不機嫌であることに気づくことが大切です。
文/加藤俊徳
不機嫌脳に無理をさせない方法
機嫌が悪いときは明らかに思考力も処理能力も低下しています。
成長することが本質である脳にとっては、キビキビと物事を処理できる状態がもっとも快です。何らかの要因によって、そんな脳にとっての快状態が失われている。それが不機嫌という感情として表出されているというのが、脳科学的に見た「不機嫌」です。
つまり「何らかの理由で感情が不機嫌だから、脳の思考力や処理能力が落ちる」のではなく、「何らかの理由で脳の思考力や処理能力が落ちている、それは脳にとって不快状態だから不機嫌という表現になる」という因果関係なのです。
「不機嫌は脳細胞の叫び」です。それに気づくことが、日々の機嫌をコントロールするためには非常に重要です。
では、不機嫌なときに「これは“何らかの理由でうまく働けません”という脳からのサインだ」と気づいたとして、具体的にどうしたらいいでしょうか。
すぐに処理能力を上げたいのなら、自分を不機嫌にさせた直接的な原因を探るよりも、ずっと効果的な方法があります。「優先順位」を確認すればいいのです。
私自身、実は右脳側の感度が鋭すぎるために、もともと、他の人の感情や周囲の状況に影響されやすいところがあります。気が散ってしまって、「今、対処すべきこと」に集中できなくなることもありました。
でも優先順位を確認することを習慣づけてみたら、だいぶ落ち着いて対処できるようになりました。
私が実践したのは、どんどん立ち現れる物事を、次のように分類することです。すぐに不機嫌を脱して機嫌よく、効率的に物事に取り組みたいときは、ぜひ、この方法を取り入れてみてください。
(1)目の前の物事に優先順位をつける
(2)優先順位の上位にあるものを、さらに「比較的早く処理できそうなこと」「ある程度、時間がかかりそうなこと」「すごく時間がかかりそうなこと」に分ける
(3)機嫌が回復しないうち(処理能力があまり高くないうち)は、比較的早く処理できることから着手する
(4)そうしているうちに機嫌が回復してきたら、時間がかかりそうなものにも着手する
このように、いったん感情は脇に置いて、「今、すること」を絞り込むのです。
決して自分の感情を否定するのではありません。「不機嫌」というアウトプットをしている感情系脳番地の働きは認識しつつも、ほかの7つの脳番地(*)にも努めて仕事を与える、といったらいいでしょうか。
すると、自分の感情を否定したり、無理して抑え込んだりせずとも、感情に影響されずに目の前のことをこなせるようになるのです。

仕事でもプライベートでも、次々といろいろなことが起こるものです。特に想定外のこと、予定外のことが起こると、脳は半ばフリーズし、感情は大きく揺さぶられそうになります。
でも、脳の調子が悪いときに無理をしても、処理能力は上がらず、ますます不機嫌が増すだけでしょう。精神的な根性論でうまくいくほど、脳は単純ではありません。だからといって、「今日は脳が不機嫌なので……」と仕事や勉強など、やるべきことを回避することもできません。そんなときは、優先順位をつけて、比較的負荷の軽いものから始めるといいのです。
明日、機嫌よく生きるには、しっかり睡眠をとって日常の機嫌値を上げ直す。
一方、その日、そのときに現れた不機嫌要素によって下がった処理能力を上げるために、「今、すること」を戦略的に脳に示し、わからせる。こうして、各脳番地がバランスよく働くよう誘導することで、最低限のやるべきことをこなすことができるでしょう。
*「8つの脳番地」=脳には場所ごとに役割が異なり、その役割ごとに、「思考系」「感情系」「伝達系」「理解系」「運動系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」の8つの脳番地に分けられる。「脳番地」は脳の学校の登録商標です。
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『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』
著者/加藤俊徳
SBクリエイティブ 1760円(税込)
加藤俊徳(かとう・としのり)
脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和医科大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、助詞強調おんどく法の提唱者。小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)法」を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI 脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。現在、「加藤プラチナクリニック」では、子どもでも大人でも脳が一生成長することを診療目的として、独自開発した加藤式脳画像診断法を用いて、脳の使い方の指導、学習・進学や適職の相談などを行っている。
著書には、『アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書』(あさ出版)、『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』(ダイヤモンド社)、『子どもの脳は8タイプ』(SB新書)などがある。











