出戻りも実家に居場所は残っていた。一緒にいることが迷惑をかけた恩返し

その後、両親、姉夫婦ともに離婚した事実はなかったかのように振る舞ってくれていたとか。離婚で気まずくなった職場を辞めて、新しいところで働くことに。そこを選んだ理由にも母親の影響があったように見受けられます。

「4年ぶりに戻った実家にも私の居場所がまだあって、嬉しかったです。姉には子どもができていて、さらに家族は賑やかになっていたし。私は離婚と同時に転職して、オフィスが入るビルの中にある飲食店で勤めるようになったんです。そこは土日は休むことができたから。母親も認めてくれたし、今までで一番気持ちよく仕事ができている気がしていました」

それから母親との仲はうまくいっているとは朱音さんは言いますが、どこか我慢している部分があるようです。

「やっぱり個々の人間なので、意見が対立する時はもちろんありますし、ケンカすることもありますよ。父親との関係も離婚するほどじゃなくても決してうまくいっているわけじゃないみたいですし。それに、私が出戻って1年も経たずに姉家族が家を出て行ってしまって、母親はどこか寂しそうでした。姉夫婦の私に対しての気遣いだと思うんですが、私が戻ったことで母親から孫を奪ってしまった気持ちになってしまったんですよね」

最後に、朱音さんの再婚の意志、そして実家を離れる気持ちはあるのかを聞いてみました。

「結婚はもういいかなって思っています。両親に孫は姉が見せてくれましたし。実家を離れることも今は考えていません。私がいないと両親の仲がこじれてしまう可能性もありますから。散々迷惑をかけてしまったので、一緒に暮らすことが恩返しだと思っています」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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