取材・文/ふじのあやこ

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「母親とは相容れない関係。母子家庭だからって誰もが強い絆を作れるわけじゃない」と語るのは、加奈子さん(仮名・46歳)。彼女は現在、兵庫県内で小さな喫茶店を友人と共同経営しています。声は小さいものの、質問には1つずつ丁寧に答えてくれるところから、人柄の良さを感じさせる女性です。

母親は結婚せずに私を生んだ。母親のルーズさを知ると、それも当然だと思った

加奈子さんは兵庫県出身で、母親、そして母方の祖父との3人家族。生まれた時から父親はおらず、ずっと母子家庭だったと言います。

「私の母親は、俗にいう愛人です。私は不倫の末にできた子どもで、父親のことは一切知りません。自分にお父さんがいないと思ったのは、小学生低学年の頃だったかな。家にはずっと祖父がいたし、最初からいない存在のことを考えることなんてあまりなかったから、少し遅めでしたね。何がきっかけかは覚えていないけど、父親と祖父というのは違う存在なんだって気づいて、それを母親に聞いたことがあります。最初こそ母親は本当のことを教えてくれなかったけど、中学に上がる前にすべてを教えてもらいました」

そのことを聞いた時はどのような気持ちだったのでしょうか。

「その前から父親がいないことはわかっていて、母子家庭という認識は十二分にあったので、そこまで驚くことはなく、『あ、そうなんだ』ってあっさりとした感じでした。私の母親は料理もちゃんとできないし、掃除も苦手、学校から返事のいるようなプリントを渡したとしてもちゃんと対応してくれるようなこともなかった。だから『こんな人のことをもらってくれる男の人なんていなかったんだろうな』って妙に受け入れてしまって。私はそんな母親のルーズでしっかりしていないところが大嫌いでしたから」

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