しかし、1979年のソ連の武力介入とそれに続く激烈な内戦で、同博物館は甚大な被害を受けます。当然、所蔵品の多くは消失したと考えられていました。ところが、そうした困難な時代にありながら、博物館員たちは命の危険を顧みず、とりわけ貴重な文化財を秘密裏に地下の金庫に隠してしたのです。彼らはその事実を家族にさえ明かさず、度重なる追及にも屈することなく秘密を守りぬきました。
内戦が終了した後の2004年4月、ついに秘宝を保管していた金庫の扉が開かれました。博物館職員たちの決死の行動によって守られた名宝は、ただのひとつも欠けることなく燦然と光り輝いていました。
4月12日(火)から東京国立博物館で開催される特別展「黄金のアフガニスタン 守りぬかれたシルクロードの秘宝」は、アフガニスタンの文化遺産復興を支援するために企画された国際巡回展のうちの東京展で、古代アフガニスタンの4つの遺跡から出土した名品が披露されます。本展の見どころを、東京国立博物館・学芸企画部長の井上洋一さんにうかがいました。
「戦禍の中、勇敢な博物館員によって命がけで守られてきたアフガニスタンの秘宝たち。今ようやくその姿を東京で観ることができます。会場には「文明の十字路」というにふさわしい紀元前2100年から紀元後3世紀頃までの、東西文明の交流を物語る黄金製品・青銅製品・ガラス製品・象牙製品など231件の名品が並びます。さらに、今回の特別展では、日本で「文化財難民」として保護されてきた流出文化財15件を併せて紹介します。彼らが救った人類の宝を紹介するこの奇跡の展覧会、どうぞお見逃しなく」
展覧会終了後、この15件を含むアフガニスタンからの流出文化財102件はアフガニスタンに返還されます。この機会にぜひご覧ください。
■特別展「黄金のアフガニスタン-守りぬかれたシルクロードの秘宝-」
会場/東京国立博物館 表慶館
会期/2016年4月12日(火)~6月19日(日)
住所/東京国立博物館:東京都台東区上野公園13-9
電話番号/03-5777-8600(ハローダイヤル)
料金/一般1400(1200/1100)円 大学生1000(800/700)円 高校生600(400/300)円 ( )内は前売/20名以上の団体 ※中学生以下無料、障がい者手帳所持者と介護者1名は無料、前売発売は4月11日まで
開館時間/9時30分から17時まで、土曜・日曜・祝日および5月2日は18時まで、金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日/月曜日(5月2日は開館)
アクセス/JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩約10分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅・千代田線根津駅・京成上野駅より徒歩約15分
展覧会公式サイトはこちら
博物館公式サイトはこちら