利休が求めた理想の茶碗、樂焼の歴代の名品が一堂にそろう展覧会が、京都国立近代美術館で開催されています。(2017年2月12日まで)
樂焼は、樂家初代長次郎が千利休の求めに応じて焼いた茶碗がはじまりです。以来、轆轤(ろくろ)や型を使用せず一点一点手捏(づく)ねによって制作される樂焼は、一子相伝という形態で現在の十五代樂吉左衞門まで続いています。
長い伝統を有するとはいえ、各々の当代がその時代の「今-現代」を試行錯誤し創作が続けられています。
本展では、樂家歴代の作品が一堂に会し、樂茶碗の歴史を辿りその魅力を探ります。
本展の見どころを、京都国立近代美術館・学芸課長の松原龍一さんにうかがいました。
「昨年アメリカ、ロシアで開催され約19万人を動員した展覧会が、さらに充実度を増し凱旋します。
樂焼を興した長次郎から450年。伝統の中に常に新しさを併せ持つ一子相伝の現代性を考察し、焼き継がれてきた歴史の重みと共に、樂焼の美的精神世界をかつてない規模で展覧いただけます。
千利休が愛した初代長次郎の黒樂茶碗『大黒』をはじめ、歴代の重要文化財のほとんどを一挙公開。また、本阿弥光悦の重要文化財など、約140点の名碗や屏風がそろいます」
現十五代が「これほどの展覧会は二度とできない」と語った大規模展です。ぜひ足をお運びください。
【茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術】
■会期/2016年12月17日(土)~2017年2月12日(日)会期中一部展示替えあり
■会場/京都国立近代美術館
■住所/京都市左京区岡崎円勝寺町(岡崎公園内)
■電話番号/075・761・4111(代表)
■料金/一般1400(1200)円 大学生1000(800)円 高校生500(300)円 ( )内は20名以上の団体料金 ※中学生以下無料、心身障がい者の方と付添者1名は無料(要証明)
■開館時間/9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)
■休館日/月曜日(ただし1月9日は開館)、年末年始(12月28日~1月2日)、1月10日(火)
■アクセス/JR・近鉄京都駅前のA1乗場より市バス5番銀閣寺・岩倉行き、D1乗場より市バス100番(急行)清水寺・銀閣寺行きで「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
取材・文/池田充枝
1989年「サライ」