英国女性ビアトリクス・ポターによって生み出され、今や世界中で愛されているピーターラビット。『ピーターラビットのおはなし』をはじめとする23作の絵本シリーズは、世界110か国累計出版数1億5000万部を超える不朽の名作です。
そんなピーターラビット展の決定版ともいえる展覧会が、大阪・梅田のグランフロント大阪で開催されています。(~4月2日まで)
作者ビアトリクス・ポター(1866-1943)の生誕150周年を記念する本展は、英国ナショナル・トラストが所蔵する貴重な絵本の自筆原画やスケッチ、遺愛品など200件を超える作品や資料を公開します。
本展の見どころを、監修者の大東文化大学教授、河野芳英先生にうかがいました。
「今回、英国ナショナル・トラストからお借りした展示品は、そのほとんどが日本初公開で、これほど大規模な展示は日本で初めてです。また、このうちのインク画や水彩画は保護管理のために今後50年は外に出されないともいわれますので、その意味でもたいへん貴重な展覧会といえます。
ピーターラビットは、幼少期から動物や植物のスケッチが好きだったポターが、家庭教師の息子に送った絵手紙から誕生しました。本展では、その絵手紙やそれを元に自費出版した『ピーターラビットおはなし』の初版本も公開されます」(河野先生)
「世界中から愛されるピーターラビットですが、ウサギの骨格から実際の動きを研究するなど、ポターは科学者の眼をもっていたので、単にかわいいだけでなく、リアリティのあるキャラクターになっているところが人気の秘密でしょうか。
またポターは、動物たちの表情をほとんど変化させず、ちょっとした仕草で喜怒哀楽を表現していて、日本の能に通じるところがあります。世界のどこよりも日本で広く親しまれるのはそうした背景があるからかもしれません。
ポターは晩年、自分の土地・農場や印税を、愛してやまない湖水地方の景観を守るために英国ナショナル・トラストに寄付しています。自然保護活動の先駆者として活動したその生涯にもご注目ください」(河野先生)
ピーターラビットの愛らしい姿とともに、作者ビアトリクス・ポターの愛と信念に触れることができる展覧会です。ぜひお出かけください。
【ビアトリクス・ポター(TM)生誕150周年「ピーターラビット(TM)展」】
■会期/2017年2月11日(土)~4月2日(日)
■会場/グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ
■住所/大阪市北区大深町3-1
■電話番号/050・5542・8600(ハローダイヤル/全日8時から22時まで)
■料金/一般1300(1100)円 高校・大学生1000(800)円 中学・小学生600(400)円
( )内は20名以上の団体料金 ※障がい者手帳持参者と介助者1名は半額
■開館時間/10時から18時まで(入館は17時30分まで)
■休館日/2月19日(日)
■アクセス/JR大阪駅2階中央北口・阪急梅田駅北改札・地下鉄御堂筋線梅田駅北改札よりいずれも徒歩約3分、阪神梅田駅地下1階百貨店口より徒歩約5分 ※1階カフェラボ横にある専用入り口をご利用ください
■展覧会公式サイト/ http://www.perterrabbit2016-17.com
取材・文/池田充枝