織田信長と帰蝶の婚姻がなり、新たなステージに突入した『麒麟がくる』。大河ドラマ歴代帰蝶(濃姫)を振り返りながら、評価がうなぎのぼりの川口春奈演じる『麒麟がくる』の帰蝶について考える。

* * *

尾張に嫁ぐ帰蝶。不安げな表情。

尾張に嫁ぐ帰蝶。不安げな表情。

ライターI(以下I):第9話で、帰蝶(演・川口春奈)が干しだこを食べるシーンにすっかりやられてしまったと聞きましたが(凝視っ!)。

編集者A(以下A): ・・・・・・・・・・・。

I: きちんと説明してください(笑)。

A: 凛とした佇まい、時おりちらっと見せる幼げな表情や可憐な瞳・・・・。もともと表現豊かな俳優さんだと思っていましたが、干しダコを食べる際のなんともいえない表情にやられましたね。ツボにはまったということでしょうか・・・・・・(苦笑)。

I: おじさん編集者をコロリとさせたというわけですが、『麒麟がくる』の帰蝶は、光秀とはいとこの設定です。信長に嫁いだあとも、おそらく最終盤まで登場してくると思われます。

A: (真剣に)いや、本当に楽しみです。おそらく歴代帰蝶(濃姫)役ナンバー1の声がかかるのではないかとも思います。もともと従来の信長のイメージとは異なる信長像を描くというドラマですから、その信長をどう支えていくのか、注目し続けたいと思います。

I: 帰蝶の生涯については史料が少ないことで有名です。これまで本能寺の変を描いた大河ドラマはたくさんありますが、主要キャストになっている場合は、だいたい本能寺の変まで信長と一緒にいることが多いようです。

A: 『麒麟がくる』では、帰蝶はいとこの光秀に、ほのかに恋心を抱いていた節もある。仮に本能寺まで登場するとしたら、どのような展開になるのか手に汗握りますね。

I: 歴代ナンバー1 というフレーズが出たので、比較のために過去の帰蝶=濃姫役を簡単にまとめてみました。

●第3作『太閤記』(1965年)では、「こい」という呼称で登場

文学座の稲野和子(当時30歳)が演じた『太閤記』の濃姫は、一貫して「こい」という呼称を通した。本能寺の変の際には、

「光秀はなぜこのような愚かなまねをしたのであろう。たとえ上様を討ったとしても天下の形勢が変わるものでもあるまい」

「羽柴殿、柴田殿がどうしてこのようなことを許しておきましょう。たとえ光秀が天下をとっても半年か一年、きっと光秀は殺されましょう」
「このようなこと、諫めて止める家来がいなかったのか。それともこれが時の勢いとでもいうのか」

などと、冷静に分析しながらも、本能寺で命を落とす。

●第11作『国盗り物語』(1973年)での濃姫

当時21歳の松坂慶子が演じた濃姫は、信長(高橋英樹)に惚れ込んだかわいらしい女性として描かれた。信長に膝枕をしながら語り合うなど、夫婦円満な場面が目立った。信長をうまく褒め、支え、信長の言に耳を傾ける姿が印象的だった。

濃姫「殿ならで、誰がこの乱世をかくも鮮やかに統一に向かわせることができたでしょう。もはや、人々は秩序を願い、二度と戦乱は望みますまい」

信長「この後の仕事は俺でなくともできるかもしれぬなぁ」

濃姫「では、たわけの生涯は終わったと思召して、新しい夢を探しあそばせ。次は何をなさいます?」

本能寺の変では、「殿!お濃は残りますぞ!」といって、敵兵相手に薙刀で戦うも、背後から槍で突かれて絶命する。

●濃姫が薙刀を持って参戦した第21作『徳川家康』(1983年)の本能寺

信長に逃げるよう命じられた藤真利子演じる濃姫だったが、ともに戦う決意を見せる。

信長「信長もおかしなやつよ。尾張一の大うつけ。他人が右といえば左といい、白いといえばあくまでも黒いといいはったつむじ曲がり。叡山高野と僧俗を問わず徹底的に殺戮をした。七層衝天の安土城も奇観瞠目の南蛮寺も建立した。大砲を積んだ軍艦も建造して、目の青い南蛮人の度肝を抜いてやった」

信長の語りを傍らで静かに聞く濃姫。信長は庭に目を向けたまま、にやっと笑い、続ける。

「その信長が今、最後の時もまた、日本中をあっといわせるはめになったわ。ははははは!光秀め。うまうまとやりくさったのぉ!」

言葉少なく、しかし信長を全力で支えた濃姫は、薙刀で戦い、討ち死にする。

【『功名が辻』での濃姫(演・和久井映見/当時36歳)は…次ページに続きます】

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