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文/鈴木拓也

元トリンプ社長が指南する、定年後のデジタル機器活用のすすめ

年代別の幸福感を調べた多くの研究によれば、若い頃とシニアの頃の幸福感が高く、壮年期は幸福感が低い「U字型」になるという。

これは、英語圏での話。日本では、青年期を頂点として、幸福感は67歳まで下がり続け、それ以降は横ばいという「L字型」。

同じ先進国なのに、こうも幸福感に差がつくのは、リタイア後も社会的なつながりを持っているか否かの差ではないかと指摘するのは、元トリンプの社長で、今はリタイアライフを満喫している吉越浩一郎さんだ。

吉越さんは、奥さんの実家のあるフランスと日本を行き来しながら、どちらの地でも多くの交友関係を結び、日本人がイメージする「定年後の寂しさ」は微塵もない。

そうした、人間的なつながりに不自由していないのは、スマホ、タブレット、パソコンというデジタル機器になじんでいるからだと、著書の『リタイアライフが10倍楽しくなる定年デジタル』で述べている。

本書で吉越さんが強調するのは、デジタル機器は「コミュニケーションの道具として非常に便利」という一点。インターネットを閲覧するだけという使い方から一歩踏み込んで活用することが、リタイアライフを幸福にする一助になるという。

では、具体的に何をどうすればよいのか? 本書からかいつまんで、紹介してみたい。

■定年1年前にはGメールのアカウントを得る

吉越さんは、会社のメールアドレスで送られてくる定年退職の挨拶は「最悪」だという。これは、もっともな話で、退職した時点で勤務先のメールアドレスはなくなり、以後疎遠となるのが目に見えているからだ。

メールを送った本人は、電話でいつでも連絡できる、と考えているかもしれない。しかし、日頃から電話でやりとりしている仲でもないかぎり、遠慮してしまうのが人情というもの。

吉越さんは、間もなく定年を迎える人たちに、「個人的なものは今後も使える個人のアドレスから送信」するようアドバイスする。

もし、まだ個人のメールアドレスを持っていない場合、一択ですすめるのがGメール。吉越さんは、その理由を以下のように挙げる。

無料の保存容量が15GBもあること。普通のメールのやりとりで写真を添付するくらいならば、送信・受信メールを消さないまま、全部保存しておいたとしても毎日10通や20通使っても10年や20年は無料のまま使えます。(中略)もうひとつ、Gメールのメリットとして迷惑メールのフィルタが非常に強力だということです。他のプロバイダや、携帯のキャリアメールなどと比較すると、迷惑メールの量は激減します。(本書45pより)

「ケータイメールでもいいのでは?」という声が聞こえてきそうだが、それに対して吉越さんは、「実はdocomoやauなどケータイのキャリアメールというのは、設定によってはパソコンからのメール受信ができなかったり、添付ファイルが開けなかったり」など、不便な面があることを指摘。また、定年後に増える同窓生同士のやりとりでは、メーリングリストを活用すると楽だとも。

■身近な人との日常連絡に便利なLINE

メールとは別に、吉越さんがすすめるSNSの1つがLINEだ。スマホにダウンロードしてすぐに無料で使える敷居の低さだけでなく、親しい人と日常的に連絡をとりあう際の使い勝手のよさを挙げる。

「ちょっと遅れる、ごめん」「急がなくていいよ」といったことから、「元気にしている?」「ありがとう、元気だよ」という程度のうんと簡単なやりとりに非常に向いています。メールだとつい「ご無沙汰しております。お元気でお過ごしでしょうか」と、どうもかしこまってしまいがちですが、LINEはチャットと同じようなものですから、何度かやりとりしたあとならば「元気?」だけでじゅうぶん、ということ。(本書112pより)

さらに、相手にすぐ通知が行くことと、相手が読んで「既読」したことがわかるのもおすすめポイントだとしている。また、実家から離れた地域に息子・娘が住んでいて彼らがLINEを活用しているなら、すぐに導入すべきだとも。今までめったに電話も寄こさなかったのに、LINEでコミュニケーションが生まれる可能性があるからだ。

■コミュニケーションの範囲をもっと広めるにはFacebook

吉越さんが、「定年後にのんびり自分の思ったことを知り合いに伝える」のに最適だとするのがFacebook。本人も毎日更新するほど大活用しているという。

Facebookは、最小限の個人情報を登録するなど手間はあるが、無料で使えて文章・写真の投稿が簡単にできる。また、横のつながりを作ることで、人間関係を深めるチャンスができるなどメリットは大きいという。

ただ見ているだけで、たまに「いいね」ボタンを押すだけでも、相手の近況がわかるのは楽しいものです。「ああ元気にしているんだな」「へえ、今はこんなところに住んでいるのか」ということがなんとなくわかっていれば、「たまには電話してみようか」という気持ちになりやすい。意外に近所に住んでいるらしいということがわかれば、連絡して会ってみようというきっかけにもなります。(本書137pより)

吉越さんのFacebookページ

吉越さんのFacebookページ

Facebookに登録したら手始めに「親しい同級生を誘って『友だち』になってみる」と、スムーズに「友だち」の輪が広がってゆくという。

一方でNGなのは「孫自慢」。孫の写真を載せることで、思わぬ犯罪を誘発するリスクが出るので、これはやめておくべきだとも。

*  *  *

そのほか、様々なアプリも紹介されており、これを知ればインターネットを閲覧するだけが目的のスマホの使い方は、もったいないと感じられるはず。
定年後は悠々自適の人も、仕事を続けようと計画している人も、デジタルの世界に親しむための入門書として、読んでおきたい1冊だ。

【今日の定年後が楽しくなる1冊】

『リタイアライフが10倍楽しくなる定年デジタル』

https://www.wani.co.jp/event.php?id=5988

(吉越浩一郎著、本体税込972 円、ワニブックス)

『リタイアライフが10倍楽しくなる定年デジタル』

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

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