いよいよ「平成」最後の年、平成30年がやってきます。記念すべき新しい年を、手描きの「水墨画」をあしらった年賀状で迎えませんか?
水墨画って、難しいんでしょ? と思っている方が多いのではと思いますが、筆と墨と水だけで描く水墨画は、世界で最もシンプルな絵画芸術。コツをつかめば、誰でも簡単に描けます。墨の濃淡だけでさまざまな色調を表し、線で心の動きまでを表現し、にじみが葉っぱの生々しさをもたらす。簡素だけれど、その情報量の少なさが逆に想像力をかきたて、奥深さを生み出す。水墨画は、シンプルだからこそ、奥が深いのです。
『サライ』2017年12月号の特集「『水墨画』で寿ぐ年賀状」では、島尾新・学習院大学教授に「水墨画の見方」を解説していただきました。雪舟の『破墨山水図』、俵屋宗達の『蓮池水禽図』などの国宝作品をはじめ、南北朝時代の禅僧画家・可翁の『竹雀図』や黙庵霊淵『布袋図』、中国・南宋時代の画家、玉澗の『山市晴嵐図』といった重要文化財作品、そして江戸時代の画家・伊藤若冲の『仔犬に箒図』や、禅僧・仙厓の『趙州狗子図』など、さまざまな水墨名画の見どころがわかり、読むと自分でも描いてみたくなるはずです。
それでは、実際に描いてみましょう。『サライ』12月号・水墨画特集の後半は、上海出身の水墨画家・沈和年(しん・わねん)さんに水墨画の基本「三墨法」と、実践を教わりました。年賀状にすぐに描ける画題として「竹」「梅」「鳥」「菖蒲」、そして新年の干支「犬」の描き方をご紹介しております。
誌面とあわせて、ぜひ、以下の動画で沈さんの筆さばきをご堪能ください。
まずは、水墨画の基本から。「線」を使って、「竹」を描く方法を指南します。この動画でも少し触れていますが、基本の墨付け法「三墨法」については、サライ2017年12月号の特集「水墨画で寿ぐ年賀状」をご覧ください。
「線」が描けたら、次は「点」をマスターしましょう。こちらの動画では、「点」を使って、「梅の花」と「花菖蒲」を描く方法を指南します。「三墨法」を使って、筆を倒すほど、濃淡が出やすくなります。
「線」と「点」を応用して、次は「鳥」を描いてみましょう。
竹、梅、菖蒲、鳥。基本の絵のしくみはわかりましたよね? では、いよいよ年賀状に挑戦です。次の動画では、はがきに「竹」を描く方法をご紹介します。線だけで描けるのでカンタン。年賀状にもぴったりです。
絵が描けたら、仕上げは文字です。文字をどのように書き入れるか? 年賀状用には、「寿」などの吉語を書き入れるのがおすすめです。
つづいては、「梅」の年賀状を描きます。梅を描くときには、「女字法」という伝統的な水墨画のルールに従うと、美しく見えます。
おしまいは、平成30年の干支「犬」の年賀状です。ここでは犬の郷土玩具をモデルに描いた犬の年賀状をご紹介します。
年賀状ができたら、最後に「印」を捺しましょう。『サライ』12月号の特集「『水墨画』で寿ぐ年賀状」では、篆刻家の河野隆さんが、スチレンボードと鉛筆を使って10分で作れる「遊印」の作り方を伝授しております。
みなさんもぜひ、筆と墨汁だけ用意して、はがきにモノクロームの宇宙を描いてみてください!
【お知らせ】
ウイスキーと水墨画づくしの『サライ』12月号。付録はサライ特製カレンダー「鈴木春信 風流江戸ごよみ」です!
※下記より試し読みできます!
https://shogakukan.tameshiyo.me/4910142111273