恋多き女性、和泉式部が再び登場
I:さて、あかね(和泉式部/演・泉里香)が久々に登場しました。「私がお慕いした方はみな、私を置いて旅だってしまわれます。まるで私がお命を奪っているみたい」と嘆いていました。
A:和泉式部は夫ある身でありながら、奔放な恋で知られた女性でもあります。恋の相手は、冷泉天皇の第三皇子である為尊親王。親王は後に三条天皇となる居貞親王(演・木村達成)の同母弟になります。母親の藤原超子が道長の姉ですから、道長とは従兄弟の関係になります。
I:その為尊親王が20代半ばで病没してしまうのです。その後、和泉式部は為尊親王のこれまた同母の弟敦道親王と恋仲になるわけですが、敦道親王も20代半ばで亡くなってしまったというわけです。
A:「まるで私がお命を奪ったみたい」という台詞を聞くと、現代でいうところの「魔性の女」のように感じる人もいるかもしれませんが、この時代男性の心を捉えるのはやはり和歌の才能が秀でていたからだと思うのです。『光る君へ』の劇中でも紹介された「黒髪の乱れもしらずうちふせば まづかきやりし人ぞ恋しき」は有名ですが、『和泉式部集』をパラパラめくると、なかなかストレートに響いてくる歌が多いのに驚かされます。
I:そうですか。例えばどんな歌でしょうか。
A:「秋吹くはいかなる色の風なれば 身にしむばかり人のこひしき」とか「いかにして夜のこころをなぐさめん 昼はながめにさてもくらしつ」とか、うまい下手は別にしてストレートに響いてきます。
I:ところで、以前も触れましたが、藤式部はさほど恋愛経験がないようでいて、『源氏物語』では多様な恋愛模様を描いています。このドラマでは、藤式部が和泉式部をはじめ様々な人からそういった話を聞いていく過程が自然な流れで描かれていますよね。
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