ライターI(以下I):『光る君へ』第30回は寛弘元年(1004)になっていました。第1回が貞元2年(977)だったわけですから、すでに27年の歳月が経過しています。
編集者A(以下A):第1回ではまひろ(演・落井実結)もまだ少女で、道長も三郎(演・木村皐誠)と呼ばれる童体でした。三郎は上級貴族藤原兼家(演・段田安則)の息子とはいえ、三男で将来を嘱望されていたわけでもありません。それがいまや左大臣(道長/演・柄本佑)として、公卿のトップに君臨する権力者。今週からはヒゲをたくわえて威厳のある容貌になりました。
I:さて、第30回冒頭では、干ばつに苦しむ人々が多数登場しました。道長の異母兄藤原道綱(演・上地雄輔)が「帝の雨ごいも効かなかったんだね」と嘆息し、藤原実資(演・秋山竜次)が「帝が雨ごいをするのは200年ぶりのことであったのだが」と引き取ります。一条天皇(演・塩野瑛久)の16代前の桓武天皇以来、帝自ら雨ごいをするほどの干ばつだったんですね。
A:劇中では、安倍晴明(演・ユースケ・サンタマリア)渾身の祈祷のおかげで雨に恵まれた形になりました。これまでも権力者道長と陰陽寮のトップ晴明が組んで政権を維持してきましたが、さすがに雨ごいはそうもいきませんからね。
I:そうした中で、皇后定子(演・高畑充希)が亡くなってから数年経っており、皇子の敦康親王(演・池田旭陽)は中宮彰子(演・見上愛)のもとで暮らしています。一条天皇は敦康親王に会うために彰子の後宮を訪れていました。
A:相変わらず中宮彰子は、表情に乏しく、冷めた感じですが、このときまだ満年齢で16歳。時代考証の倉本一宏先生が女御、中宮らの初産年齢について調査していますが、16歳はまだまだこれからという年齢だということを補足しておきたいと思います。
I:当初は入内に反対していた母の源倫子(演・黒木華)が一条天皇に対して、中宮彰子をもっと大切にしてくれと懇願する姿が印象的でした。道長にたしなめられていましたが、「母の心」の強さを感じさせてもらいました。
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