時を知らせる道具として生まれた腕時計が、今や私たちの個性を表現する装身具として進化を遂げています。その最前線にあるブランドのひとつが、シチズンが展開する「カンパノラ」。2024年7月、カンパノラは日本の伝統工芸と最先端技術を融合させた2つの限定モデルを発表しました。

文/土田貴史

日本の伝統工芸技術が、宙空の美を詩的に彩る

「宙顕(そらのあらわれ)」「星顕(ほしのあらわれ)」と名付けられた両モデルは、それぞれ250本限定生産アイテム。ともに漆塗りと螺鈿(らでん)を用いたダイヤルが特徴で、宇宙の神秘と時の流れを表現しています。

「宙顕」は、宇宙の始まりであるビッグバンをイメージしたデザイン。黒漆を背景に、赤のクリアカラーで星雲を表現し、螺鈿や金属粉で星々の輝きを描き出しています。一方の「星顕」は、6時位置のサブダイヤルに星の誕生シーンを描いています。グリーンのクリアカラーで星雲を表現し、その奥に漆黒の宇宙に煌めく星々を配しています。

「宙顕」。ケースラグからストラップへと繋がる曲線が美しい。
「宙顕」。見返しとダイアルに段差が設けられ、宙空の美が表現されている。
「宙顕」。ケースバックの孔は、リピーター音を伝わりやすくするため。

その価値は見た目の印象だけにとどまりません。「宙顕」は、音で時刻を知らせるミニッツリピーター、月の満ち欠けを表示するムーンフェイズ、2100年まで月末のカレンダー修正が不要なパーペチュアルカレンダー、そして高機能のクロノグラフを搭載しています。これら4つの複雑機構を併せ持つ「グランドコンプリケーション」をクオーツムーブメントで実現しています。「星顕」も負けてはいません。光発電のエコ・ドライブ技術を搭載し、定期的な電池交換の必要がありません。さらに、月、日、曜日を表示するトリプルカレンダーとムーンフェイズ機能を備えています。

「星顕」。6時位置のサブダイヤルが、このモデルの見せ場。ブランドロゴも誇らしい。
「星顕」。ケースバックには、「宙願」と同様にシリアルナンバーが刻まれれる。

両モデルとも、ケースには艶やかなブラックカラーが特徴的な「デュラテクトDLC」と呼ばれる表面硬化技術が施されています。これにより、日常使用による擦り傷から時計を守り、長期間にわたって美しい外観を保つことができます。さらに、環境に配慮したLWG認証のワニ革バンドを採用しています。

カンパノラブランドは2000年のデビュー以来、「時を愉しむ、日常を愉しむ、個性を愉しむ」をテーマに掲げてきました。今回の限定モデルも、この理念を体現するものです。所有者は、日々の生活の中で、腕時計を見るたびに宇宙の神秘に思いを馳せるでしょう。それは、ただ時間を確認するという行為を超えた、豊かな精神的体験をもたらすのです。

日本の伝統工芸である漆塗りと螺鈿を用いたダイヤルは、職人の高度な技術と創造性の結晶です。これらの技法は何世紀にもわたって受け継がれてきましたが、カンパノラはそれを現代の腕時計の形で再解釈しています。所有者は、腕に日本の伝統美を纏いながら、同時に最先端の時計技術を楽しむことができるのです。腕時計は時を刻むだけでなく、私たちの人生に寄り添い、思い出を刻む存在でもあります。カンパノラの新作は、その役割をきっと艷やかに果たすことでしょう。

宙顕(そらのあらわれ)AH4086-13E、クオーツ、デュラテクトDLC加工を施したステンレスケース(径43mm)、日常生活用防水、50万6000円(税込)。
星顕(ほしのあらわれ)BU0024-02F、光発電エコ・ドライブ、デュラテクトDLC加工を施したステンレスケース(径43.5mm)、日常生活用防水、38万5000円(税込)。問い合わせ/シチズンお客様時計相談室 フリーダイヤル 0120-78-4807 (受付時間 9:30〜17:30 祝日除く月〜金)

 

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