「ムーミン」の生みの親で、多方面に才能を発揮したアーティスト、トーベ・ヤンソン(1914-2001)は、フィンランドの首都ヘルシンキ生まれ。彫刻家の父と挿絵画家の母をもつトーベの家にはアトリエがあり、そんな環境で育ったトーベは、早くから挿絵画家、風刺画家、短編作家として活躍を始めました。

1940年 油彩、カンヴァス 個人蔵
(C)Tove Jansson Estate
Photo(C)Finnish National Gallery Yehia Eweis
1945 年に「ムーミン」小説第1作『小さなトロールと大きな洪水』を発表。以後、25年間にわたって書き続けた「ムーミン」小説は、世界各国で多くの人々に愛読されてきました。

インク、紙 ムーミンキャラクターズコレクション
(C)Moomin Characters (TM)
森アーツセンターギャラリーで開催の「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」は、「ムーミン」小説の出版80周年を記念した展覧会です。(7月16日~9月17日)
本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。
「本展は、「ムーミン」小説の出版80年を記念して、ヘルシンキ市立美術館協力のもとで企画され、初期の油彩画、第二次世界大戦前後の風刺画、「ムーミン」小説・コミックスの原画やスケッチ、愛用品など約300点を通して、トーベの創作の世界に迫ります。画家を目指していたトーベは、若い時から雑誌の挿絵でその才能を発揮しました。

ムーミンキャラクターズコレクション
(C)Tove Jansson Estate
戦争中の辛い日々からの救いの場として書き始められた「ムーミン」小説は全9冊。ストーリーも挿絵もトーベによるものです。「ムーミン」は小説のほかにも新聞連載マンガや絵本にもなり、世界的な人気を博しました。
会場には、「ムーミン」シリーズに登場するキャラクターのスケッチが大集合。さまざまな表情のキャラクターたちと出会うことができます。

インク・水彩、紙
ムーミンキャラクターズコレクション
(C)Moomin Characters(TM)
さらに本展では、「ムーミン」の世界が体感できるような演出がされていて、日本ではあまり知られていない壁画も見どころです。トーベは第二次世界大戦後の復興期には、市庁舎や病院、保育園など、公共施設の壁画も数多く手がけていました。
また、「ムーミン」のキャラクターたちが随所に登場する保育園のために描かれた壁画「フェアリーテイル・パノラマ」は2面合わせて幅約7メートルの原寸大映像で紹介します」

《遊び1(アウロラ病院小児病棟の壁画のためのコンペティション用スケッチ)》
1955年
テンペラ、カンヴァス ヘルシンキ市立美術館
(C)Moomin Characters(TM)
Photo(C)HAM / Hanna Rikkonen
トーベが探し続けた「とっておきのもの」を、あなたも会場で探してみませんか。
【開催要項】
トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~
会期:2025年7月16日(水)~9月17日(水)
会場:森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://tove-moomins.exhibit.jp
開館時間:10時~18時、金・土・祝前日は~20時(入館は各閉館30分前まで)
※土・日・祝日及びお盆期間の8月12日~15日、会期最終週の平日9月16日・17日は日時指定予約制
休館日:会期中無休
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
巡回:北海道立近代美術館(2025年10月1日~11月24日)
長野県立美術館(2026年2月7日~4月12日)
愛知・松坂屋美術館(2026年4月25日~6月14日)
取材・文/池田充枝
