文/満尾正
新型コロナウイルス感染症など、さまざまな病気に負けないための「免疫力」は、日々の食事や生活習慣の改善によって、大幅に高めることができるそうです。しかし、巷に溢れる健康や免疫力に関する知識は刻一刻とアップデートされ、間違った情報や古びてしまったものも少なくありません。コロナ禍の今、本当に現代人が知っておくべき知識とは何でしょうか。著書『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』が話題の満尾正医師が解説します。
働き盛りの人は食事の見直しが肝心!
働き盛りの男性には、尿酸値が高めの人が結構います。
尿酸値が高い状態を放置していると、足の親指の付け根などに激痛が起きる痛風発作に襲われるため、みなさんそれなりに気にします。発作が起きないように尿酸値を下げる薬を飲みたがる人も多くいます。
結局のところ、気にしているのは「激痛発作が起きるかどうか」なのです。
しかし、本当に気にすべきはそこではありません。「なぜ、尿酸値が高くなっているのか」こそ、考えなくてはならないポイントです。
尿酸値が高くなっているのは、そういう食事をしているからです。
そもそも、尿酸は体が錆びてゆくのを止めてくれる抗酸化物質で、体の中に一定量、存在することは歓迎すべきことです。
しかし、尿酸が高濃度になると血液中で針のような結晶をつくるために、関節や腎臓など体の組織を壊してしまうという厄介なことが起きてしまいます。
食事や生活習慣を改善せずに尿酸値を下げる薬を飲み続けていれば、抗酸化物質である尿酸だけ失われていくため、体が受けるダメージはより大きくなる可能性があります。
がんのような進行性の疾病、心筋梗塞や脳卒中など時間を争う疾病でない限り、病気の治療は本来、ライフスタイルの見直しから始めるべきです。
その最たるものが食事です。
まずは食事内容を変え、それでもだめだったら薬を処方するべきだと多くの医師はわかっているはずです。わかってはいるけれど、現代医療の仕組みからすぐに薬を出してしまうのです。
そういう日本の医療システムの事情に、個人レベルで抗えるはずはありません。でも、犠牲にならないで済ませる方法はあります。すなわち、やたらと薬を欲しがらないで、自分の生活習慣について正しく理解することです。
満尾正(みつお・ただし)/米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』(小学館)など。