『枕草子』有名場面が早くも登場

派手な装いで御岳詣をしたことを自慢する宣孝(演・佐々木蔵之介)。(C)NHK

I:さて、劇中では藤原宣孝(演・佐々木蔵之介)が、御嶽詣で(奈良吉野の金峯山)の帰りということで派手な装いで訪れました。清少納言(劇中ではききょう/演・ファーストサマーウイカ)の『枕草子』の中で、宣孝の装いについて、「濃い紫の指貫、白い狩襖、山吹色のひどく大げさな派手な色の衣などを着ていた」と表現していますが、忠実に再現されていて、なんだかワクワクしました。

A:『枕草子』には、ふつうの人は控えめな装いでお参りすることが多い中で、宣孝という人は派手な装いでお参りしたこと、そのお参りによって、ざっくりといって、御利益があったことが記されています。

I:「御利益」なんですかね。それは今後答えがでてくると思いますので、みなまで言いません(笑)。

道長と明子、まひろとさわ

さわ(演・野村麻純)と買い物に出かけて人身売買を目撃するまひろ(演・吉高由里子)。
(C)NHK

I:さて、今週は道長と明子(演・瀧内公美)の間に子ができたことが明らかになりました。前週から4年も経過しているわけですから、まあそうなりますよね。

A:4年経過してなお、兼家を呪詛することを考えているとは執念深いキャラ設定ですね。実兄の源俊賢(演・本田大輔)は、道長と明子の関係もあって順調に昇進していくわけですから、現実主義ですよね。

I:ちょっと印象的だったのが、まひろとさわ(演・野村麻純)と人買いのやり取りです。

A:『光る君へ』の舞台は、一見華やかな貴族社会なのですが、貴族社会の中でさえ、「虫けら」扱いされるほど格差がありました。位階を持つ貴族ですら虫けら扱いならば、いわゆる一般庶民の暮らしはどうだったのか? と思いますよね。『光る君へ』では平安時代の庶民の暮らしにも光を当てようと試みていて、寸分も飽きさせないという強い意志を感じます。

I:この頃は人身売買が普通に行なわれていたようですね。時代の闇もしっかり描いてくれています。

A:人身売買的なことは、度々禁止令が出ていますから、けっこう深刻な状況だったのだと思います。戦国時代にもありましたし、江戸時代の吉原なんかも広義の人身売買でしょう。実はかなり後年まで続いていたのが現実です。

I:まひろが庶民の娘たね(演・竹澤咲子)に文字を教えていました。文字が読めないから騙されるということで、この時代の庶民の暮らしぶりを知らせる場面として貴重ですよね。

A:この時代の庶民の暮らしは史料が残っているわけではないのですが、こういう形で触れていただくのはうれしいですね。まひろがたねに教えていたのは、俗に「あめつちの詞」と称される「教本」ですね。

I:「あめ、つち、ほし、そら、やま、かわ、みね、たに、くも、きり、むろ、こけ、ひと、いぬ、うへ、すゑ、ゆわ、さる、おふせよ、えのえを、なれゐて」で、漢字にすると、天、地、星、空、山、川、峰、谷、雲、霧、室、苔、人、犬、上、末、硫黄、猿、生ふせよ、榎の枝を、慣れ居て」ということになります。

I:いろはにほへとは有名ですが、「あめつちの詞」を挿入してきましたね。平安時代当時の発音は現代とちょっと違っていたりしたんですよね。いやはや、勉強になるドラマです。

たね(演・竹澤咲子)に字を教えるまひろ。(C)NHK

まひろの就職活動。次ページに続きます

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