ライターI(以下I):寛和2年(986)6月23日、第65代花山天皇(演・本郷奏多)は19歳で退位することになりました。藤原兼家(演・段田安則)一族総出の陰謀クーデターは「寛和の変」と呼称されています。
編集者A(以下A):よもや「寛和の変」が大河ドラマで描かれる日がこようとは。この時代の歴史に思いを寄せている方々は感無量なのではないでしょうか。これまで大河ドラマで扱われたことのない時代が映像化されることで、この時代の歴史に興味を持つ人が増えそうです。
I:天皇の御代替わりということで、花山天皇の蔵人として仕えていた藤原為時(演・岸谷五朗)もお役御免ということに相成りました。
A:このとき為時が、お役御免になったのは史実ですね。こののち為時は苦難の日々を過ごすことになります。貴族の娘の縁談は、実家の父の役どころが重視されるご時世ですから、為時の失職はまひろ(演・吉高由里子)の運命をも左右したともいえます。
I:さて、道長(演・柄本佑)と藤原行成(演・渡辺大知)のやりとりがありましたが、私、ちょっと前から行成の道長を見る目がなんだか恋慕の情が交っているような気がしてならないのですよ。
A:えー。それはまったく気がつきませんでした。今後の展開が気がかりですね……って、うーん、それはどうでしょう(笑)。
I:それはそうと、7歳の一条天皇(演・高木波瑠)が即位しました。母親の詮子(演・吉田羊)が後ろに控えていたのが印象的です。帝は、北斗七星と龍などの文様が施された袞衣(こんえ/袞龍御衣=こんりょうのぎょいの略)を着用していました。中国皇帝の装束を模したものですね。
A:即位礼など宮中の重要な儀式で天皇陛下が召される装束といえば黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)が有名ですが、実はこれは明治天皇以降の伝統になります。黄櫨染御袍自体は平安時代からあったのですが、幕末まで即位の際には袞衣が用いられていました。明治になって、中国を模したものではなく、日本風の黄櫨染御袍にすべきということになったようです。
I:黄櫨染御袍は格式高いですが、袞衣の赤地に背中の北斗七星もかっこよかったですよね。
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