文/川口陽海
腰椎椎間板ヘルニア、腰痛、坐骨神経痛などで、朝起きる時に腰が痛くなることがあります。
■朝、腰の痛みで目が覚める
■腰が痛くて起き上がれない
■痛くて体の向きを変えられない
■腰の痛みで立ち上がれない
■立ち上がる時腰が伸びない
なんとか起き上がって身体を動かしていると良くなってくることも多いのですが、毎日のように続くこのような症状は本当につらいですよね。
今回は、筆者の腰痛トレーニング研究所でおすすめしている、朝起きる時の腰の痛み『起床時痛』を改善するセルフケアやストレッチをご紹介します。
朝起きる時の痛みの原因は腰やお尻の筋緊張
朝起きる時の腰の痛みの原因は、腰やお尻の筋緊張です。
筋緊張というのは、筋肉がこり固まってしまった状態のこと。
筋肉は長時間同じ姿勢でいると、こり固まってしまうという弱点があります。
寝ている間は、楽な姿勢で横になり、適度に寝返りなどもしていると思いますが、それでも5時間以上は同じような姿勢でいることになります。
そうすると、身体のあちこちがこり固まって痛みを起こすことがあるのです。
この典型的な症状が、いわゆる『寝違い』。
変な姿勢で寝たり、いつもと違うまくらや布団で寝たりすると、首や肩、背中の筋肉が硬直し、朝起きると痛くて動かせないということになるわけです。
『寝違い』ならせいぜい数日で良くなりますが、慢性的な腰痛の方は、腰やお尻などの筋肉がこり固まりやすく=筋緊張を起こしやすくなっているため、毎日のように寝ている間に腰やお尻の筋肉が固まってしまいます。
そのために朝起きると痛みが起こるのです。
朝起きる時に痛みを起こしやすい筋肉
朝起きる時に痛みを起こしやすい筋肉はいくつかあります。
それは次のような筋肉です。
【脊柱起立筋】
脊柱起立筋は背骨の両側にあり、腰から首までつながっている筋肉です。
文字通り背骨を起立させて支えたり、身体を反らせる時などに働きます。
脊柱起立筋が緊張すると、上の図の赤い部分のように、腰からお尻にかけての痛みを起こします。
【腰方形筋】
腰方形筋は、腰に手を当てた時に親指が当たるあたりにあり、肋骨と背骨(腰椎)と骨盤をつなぐ筋肉です。
腰が疲れた時や痛む時などに、自然と指で押したり揉んだりする部分です。
この筋肉は骨盤や腰、背骨を支えたり、身体を左右に曲げる時などに働きます。
腰方形筋が緊張すると、上の図の赤い範囲のように、腰からお尻にかけての痛みを起こします。
【中殿筋】
中殿筋は、骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉です。
骨盤や股関節を支えたり、股関節を動かしたりする役割があります。
中殿筋が緊張すると、上の図の赤い範囲ように腰の真ん中あたりからお尻にかけての痛みを起こします。
また、腰や骨盤のまわりには他にもたくさんの筋肉があり、それぞれ痛みの原因となる場合があります。
朝起きる時の痛みをやわらげる睡眠姿勢
睡眠時の姿勢に気を付けると、朝起きる時の腰の痛みがやわらぐことがあります。
どんな姿勢が良いか?
それはできるだけ腰を丸める姿勢です。横向きに寝て、猫のように腰を丸められると良いでしょう。
腰を丸めると、前項で説明した、痛みの原因になりやすい筋肉が軽くストレッチされます。
そのため筋緊張を起こしにくくなり、朝の痛みがやわらぐのです。
とはいえ、寝ている時の姿勢を制御するのは、なにしろ寝ているのですから、なかなか難しいかもしれません。
下の図のように、抱き枕などを使うのも一つの方法です。
この図のように腰を丸めて寝られるのが理想的です。
テニスボールを使って朝起きる時の腰の痛みをやわらげる
夜寝る前に、テニスボールを使って腰やお尻の筋肉をほぐすと、朝起きる時の腰の痛みをやわらげることができます。
仰向けで膝を立て、身体を傾けてテニスボールをお尻や腰のあたりに優しく当て、そっと体重をかけていきます。
何か所か当てていくと、痛気持ちよく効くポイントが見つかると思います。
ポイントが見つかったら、そのまま身体の力を抜きます。とくにボールが当たっているところの力をうまく抜いてください。
10~20秒ほど当てたらボールを少しずつずらし、次のポイントを探します。
このように繰り返しながら、腰からお尻にかけてよくほぐすようにしてください。
テニスボールでほぐす方法は、本連載で以前詳しく記事にしております。よろしければそちらもぜひご覧いただき、参考になさってください。
テニスボールで腰ほぐれる!5分でできる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第4回】
※ご注意)
強くやり過ぎたり、長時間やりすぎたりすると、かえって痛みが増すことがあります。
はじめは1カ所10~20秒程度、全体でも5~10分程度にしましょう。
また、ほぐしている時に『すごく痛い』『嫌な感じや不快感』などがある、またはほぐした後に痛みが残ったり、痛みが増したりする。このような場合は中止してください。
朝起きる時の腰の痛みをやわらげるストレッチ
朝起きる時の腰の痛みをやわらげるには、ストレッチも大変有効です。
今回はお尻の筋肉『中殿筋』のストレッチをご紹介します。
仰向けで両膝を立て、片方の足首を反対の膝に乗せます。
そのまま膝を乗せた側の足の腿の裏を両手で抱えて胸に引き寄せます。
適度にお尻の筋肉が伸びたところで止め、ゆっくりと深呼吸を3~5回(約30秒)繰り返します。
終わったら脚をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
片側2~3回ずつおこなってください。
お尻から腿の裏にかけて、痛気持ちよく伸びる感じがあればOKです。
腿裏を抱えたのではあまり伸びない場合は、上の画像のようにすねを持ってみてください。
このストレッチを、寝る前などにおこなうと効果的です。
腰の痛みをやわらげるストレッチについては、本連載で以前詳しく記事にしております。よろしければそちらもぜひご覧いただき、参考になさってください。
慢性腰痛を改善!誰でも簡単にできて効果的な6つのストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第21回】
※ご注意)
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
またこのストレッチをおこなうことで症状が悪化する場合もありますので、そのような時は中止してください。
また、以下の記事で様々な腰痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
ヘルニア・狭窄症|ストレッチで改善する座っている時の痛みやしびれ【川口陽海の腰痛改善教室 第8回】
1日10回で腰痛・坐骨神経痛を改善!|誰でもできる簡単ヒップリフトエクササイズ【川口陽海の腰痛改善教室 第10回】
1日10回で反り腰を改善!イスに座ってできる簡単腰丸めストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第12回】
ヘルニア・狭窄症|「座ったあと腰が伸びない、痛い」を改善する簡単エクササイズ【川口陽海の腰痛改善教室 第14回】
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症|手術をせずに治すトレーニング法【川口陽海の腰痛改善教室 第19回】
ヘルニア・狭窄症・坐骨神経痛 太もも裏の痛みやしびれを改善するストレッチ&トレーニング【川口陽海の腰痛改善教室 第25回】
文・指導/川口陽海
厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616
http://www.re-studio.jp/index.html