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野球への恩返しのために、毎日「準備」そして「継続」(山本昌の健康・スポーツコラム 最終回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月曜日は「健康・スポーツ」をテーマに、野球解説者の山本昌さんが執筆します。

文/山本昌(野球解説者)

野球解説者の山本昌です。週1回の連載コラムもいよいよ最終回を迎えました。僕のコラムを読んで運動を始めたり、意識付けの変化があったりといった方が少しでもいてくれたらうれしいです。

さて、前回は僕の友人・武豊騎手についてお話しましたが、今回が最後ですので、これからの僕の目標と、そのために僕が意識して行なっていることをお話します。

2018年2月にキャンプ取材で訪れた沖縄・宜野湾での写真です。現役を引退しても、やはり開幕前は期するものがあり、今年の目標を新たにしました。

■試合の“全体感”を意識して見る目と選手個々を見る目

僕はこの連載5回目で「再びユニフォームを着て日本一を目指したい!」という目標を持っていることをお話しました。プロ野球界への復帰といっても、僕がやりたいという気持ちだけではどうにもなりません。チームや選手から求められる指導者、人材になることが大切だと思います。そのために何が必要なのか、日々そういったことを考えながら過ごしています。

では具体的に何をしているかというと、まずは気づいたことや感じたことをノートに書き留めるようにしています。これは連載7回目でお話しした講演のためにノートを付けていることと共通するのですが、野球に携わる仕事においても行なっています。

また、試合を見る時にも“全体感”を意識して見るようにしています。

どういうことかというと、僕は自分自身がピッチャーだったということもあり、どうしてもピッチャー目線で野球を見る癖がありました。でも、それではチーム全体としての戦略や、各選手の個性を生かしたプレーなどが把握しきれないと感じていました。

もちろん野球解説者としても、正確な情報を伝えるためには各チームの特色を知ることも大切なので、そういった意味からも野手を含めたチーム全体を俯瞰的な目線で見るようにしてきました。近頃では、試合の展開と自分のイメージが合致してくることもこれまで以上に増えています。

それから、最近あるチームの監督を見ていて気付いたことがあります。それは、監督(指導する側の立場)がどういった方針で選手を起用するかをきちんと決めておくことが大切だということです

当たり前のように思われますが、これが意外と難しいんです。

例えば、ある若手選手を育てたいと思い、試合に起用したとします。でも、なかなか期待するような活躍をしてくれない、成績が伸びないなんてことがあります。この時、明確な方針があれば、「選手を起用し続ける」にしても「選手を交代させる」にしても、選手側の受け入れ方が変わってきます。だからその後、きちんと理解して動くことができるようになると思うのです。

監督という立場は、チーム全体を俯瞰して見ることが大切ですが、選手個々の長所・短所を理解して瞬時に判断する柔軟性も必要だと思います。そういった対応力も指導者に求められる大切な要素なんだと改めて気づかされました。

僕は32年間、プロ野球選手として頑張ってきましたが、それでもまだまだ新たな発見があったり、勉強しなければいけないこともあります。つくづく野球は奥が深いスポーツだなと感じています。

2018年5月20日、ナゴヤドームで始球式にゲスト出演した時の写真です。久しぶりのユニフォーム、マウンドはやはり気持ちが高揚しますね。

■野球界全体を底上げするために、アマチュア野球への取り組み

僕は昨年、学生野球資格を回復しました。知っている方も多いと思いますが、プロ野球選手、元プロ野球選手は野球をしている学生に指導をすることができません。ですから、引退を機に資格回復制度を受けてアマチュア野球にも携わりたいと思っていました。それがようやく叶い、今は母校の野球部に時間を見つけては指導に行っています。

これには星野監督がよく言われていたことがあって、その言葉に僕は大きな影響を受けました。

「底辺を広げていかないと、いずれプロ野球が壊滅してしまう」

「アマチュア、プロ野球が一致団結して野球振興をしていかないといけない」

監督は常々そうおっしゃっていました。

プロ野球を経験した僕たちが、正しいトレーニング方法や体の使い方、怪我をしない土台作りを伝えていくことで未来のプロ野球選手が育ってくれると思います。

また、アマチュア野球への取り組みはプロ野球だけではなく、女子プロ野球や日本代表チームへの選手排出など、様々な広がりを見せると思います。現代は各世代、性別を問わずに日の丸を背負って戦う舞台が多くあります。そういった環境自体が選手にとってのよい励みにもなっていますよね。

プロ選手になることだけが最終目的地とは限りませんので、野球に関するあらゆる環境の底上げを支援できるようにアマチュアとの関わりも大切にしていきたいと感じています。

この連載コラムで僕は「準備」と「継続」が大切だとお話してきました。僕自身もまさに毎日が準備だと思っています。いつか現場復帰の時が来た暁に、選手とチームに最大限の貢献ができるように、野球に恩返しができるように……。

その日を目指して、日々の仕事に励んでいきたいと思います!

全13回、このコラムを読んでいただき、ありがとうございました。

文/山本昌(やまもと・まさ)
昭和40年、神奈川県生まれ。野球解説者。32年間、中日ドラゴンズの投手として活躍し、平成27年に引退。近著に『山本昌という生き方』(小学館刊)。

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