夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月曜日は「健康・スポーツ」をテーマに、野球解説者の山本昌さんが執筆します。
文/山本昌(野球解説者)
今回で4回目となりました夕刊サライの連載、野球解説者の山本昌です。
前回は僕が現役時代にどういったことに気を付けていたのか、そして夏に向けた体調管理について少しですがご紹介いたしました。今回は僕の話というよりは、いよいよシーズン開幕が目前に迫っている今年のプロ野球についてお伝えしようと思います。
■間もなくプロ野球シーズン開幕! その時選手の心境は?
今年も2月1日の春季キャンプスタートを皮切りに、テレビや新聞をはじめとしたスポーツニュースで連日、プロ野球の話題が取り上げられています。いよいよ今シーズンの開幕も目前です。
この時期の選手は「がんばるぞ! やってやるぞ!」という気持ちの高ぶりと、「いよいよ開幕か……」という緊張感の両方を持ち合わせて日々の練習に取り組んでいます。
もちろん、選手によって感じ方は様々なので一概には言えませんが、まったく緊張しない選手はいないと思います。その中で、いかに最大限のパフォーマンスを発揮するかが一流の選手に求められるので、春季キャンプからオープン戦の期間は心の準備においても本当に大切な期間だと言えます。
ちなみに、僕はというと、緊張感の中で戦えることを楽しみにしていました。
■今年一番の注目は中日・柳投手、西武・菊池投手
3月30日(金)いよいよセ・パ両リーグが開幕します。
各球団、オフシーズンから選手強化、補強など様々な策をもって迎える大切なスタートの日です。僕も、春季キャンプ地の視察、オープン戦の解説などで多くの選手の状況を見させてもらいました。そこで、僕が思う今シーズンの注目球団、選手を少しだけご紹介いたします。
まずはセ・リーグから、僕の出身球団である中日ドラゴンズ。
注目は柳裕也投手です。キャンプ地で見た限り、球のキレやスピードに去年とは全く違うものを感じました。ドラゴンズの若い投手陣を背中で引っ張っていける選手だと思うので大いに期待をしたいですね。
次に注目なのは、やはり読売ジャイアンツの投手陣。
上原浩治投手の日本球界復帰は朗報でした。さらに、澤村拓一投手が抑えとして戻ってきたうえ、リリーフ陣もしっかりしている。こういうチームは強いです。加えてバッター陣にゲレーロ選手が加入し、大きな戦力となることは間違いありません。彼が一番得意とするホームランゾーン左中間、東京ドームは狭いのでうまくいけば40本塁打も期待できると注目をしています。
パ・リーグの注目選手ですが、西武ライオンズの菊池雄星投手は本当に楽しみな選手です。
昨季の活躍で、今や巨人の菅野智之投手と並び、日本を代表するエースに成長してくれました。実は、ある機会に僕のチェンジアップ、スクリューを伝授したので、スクリューを投げることで更に投球の幅が広がれば、もっと上を目指すことができると思います。投手としてどこまでの高みに登れるのか、彼の今後に大きな期待をしています。
チームとして注目をしているのは楽天イーグルスです。
今、パ・リーグは福岡ソフトバンクの一強状態ですが、そんな状況を変える可能性を秘めているのが楽天イーグルスだと思います。戦力が少しずつですが確実に上がってきています。昨年は途中で息切れをしてしまいましたが、ぜひ注目をしていきたいチームです。
■プロ野球を楽しむためには、球場に行ってください!
僕たち野球解説者の「あるある」なんですが、「プロ野球を楽しむためにはどこに注目したらいいの?」という質問をよく受けます。
人それぞれ、いろいろなポイントがあると思うのですが、僕は新しいスター選手の誕生を楽しみに見ることをおすすめします。
今、日本のプロ野球界からスター選手が次々にメジャーに行ってしまいます。昨シーズンオフには大谷翔平投手もついに海を渡りました。ですが、日本の野球はWBCなどの世界的大会でも最高レベルだと証明をされています。ということは、次々に新しいスター選手が出てきているとも言えるわけです。
ですから、次に日本の球界を代表する選手がどの球団から出てくるのか、日々の戦いに注目をしてほしいと思います。そして、可能であれば、ぜひ球場へ足を運んでほしいですね。もちろん、テレビやラジオでも楽しむことはできると思いますが、球場でしか感じることができないことがたくさんあります。選手の躍動感、息遣い、球音、球場全体の一体感、もちろんヤジが飛んだりすることも醍醐味のひとつだと思います。
ファンの皆さんの声援は選手の大きな力になりますから、今シーズンはぜひ1回は球場へ足を運んでもらって、選手やチームへ応援をよろしくお願いします!
文/山本昌(やまもと・まさ)
昭和40年、神奈川県生まれ。野球解説者。32年間、中日ドラゴンズの投手として活躍し、平成27年に引退。近著に『山本昌という生き方』(小学館刊)。