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健康

42歳での自己最高球速をかなえた初動負荷トレーニング(山本昌の健康・スポーツコラム 第6回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月曜日は「健康・スポーツ」をテーマに、野球解説者の山本昌さんが執筆します。

文/山本昌(野球解説者)

桜が咲いたなと思っていたら連日の夏日と、暑い日が続いていますね。気温も上がってきたからか、名古屋や東京でもランニングをしている人が増えてきたように思います。

前回は、僕が日々の中で意識をしているセルフマネジメントについてご紹介しました。今回は、僕が現役時代に20年間続けていた初動負荷トレーニングについてご紹介したいと思います。

■恩師・小山裕史先生と初動負荷トレーニングとの出会い

みなさんはワールドウィングエンタープライズ(以下、ワールドウィング)の小山裕史先生をご存じですか?

野球好きな人であれば、イチロー選手が愛用している「BeMoLo(ビモロ)」のスパイクを開発した人と言えばわかるでしょうか。その小山先生と出会ったのは、僕が30歳くらいの時でした。

僕が2軍で左膝のリハビリをしていた時、ナゴヤ球場のトレーニングルームにワールドウィングが提供するトレーニングマシンが導入されていました。このマシンの使用感がとてもよく、ぜひ開発者の小山先生に会ってみたいと、シーズンオフに鳥取にある施設を訪れたのが先生との初めての出会いでした。当時の僕はリハビリ中だったこともあり、「いつまで投げ続けられるだろうか」と将来への不安も抱えていました。

初めてお会いした小山先生はさわやかでとても気さくな方でした。何より野球がとても好きだということがわかり、この人なら腹を割って話し合いながらトレーニングができると思いました。そして、小山先生との出会いが初動負荷トレーニングとの出会いとなりました。

2017年11月、シーズンオフに鳥取にあるワールドウィングの施設でトレーニングしている、中日ドラゴンズの後輩、岩瀬仁紀投手を取材しました。そのときに僕も少しの時間ですが、一緒にトレーニングしました。

 

初動負荷トレーニングを言葉で理論的に説明するのはとても難しいのですが、身体の基本的な動きを重視し、もともと持っている潜在能力を最大限に引き出すことを目的としています。

例えば、関節などの可動域を広げることで柔軟性を得ることができます。柔軟性があればケガの防止にもつながります。人は年齢とともに筋肉が硬くなり、柔軟性が落ちていきます。肩こりなどもそうですが、硬くなった筋肉が熱を持ち、それが痛みにつながっていくのだと思います。ですから、体が硬くなることを防ぐことで年齢を重ねても痛みが出ない体を維持することができるわけです。

■僕のために作ってくれた野球スパイク

小山先生とは本当にたくさんの野球談議をしました。一晩中語り明かしたことも何回もあります。小山先生との出会いで僕の野球人生は大きく変わったと言っても過言ではありません。

トレーニングに通い続ける中で、僕が感じているマウンドでの投球イメージと、小山先生のメカニズム理論をすり合わせていきながら、毎年新しい投球フォームを作りました。肩の可動域も広がり、野球人生で最も早いボールを投げられたのは42~43歳の頃です。

2016年7月に鳥取のワールドウィングを訪れたときの写真です。肩をほぐすために、足でマッサージをしてもらっているところです。

 

初動負荷トレーニングを始めて12年が過ぎる頃、僕と小山先生が続けてきたことは間違いではなかったと改めて確信が持てました。さらに、小山先生は僕の足首に負担のかからないスパイクを作りたいと、初めての野球スパイク作りにもチャレンジをしてくれ、そこから誕生したのが「BeMoLo(ビモロ)」のスパイクなんです。

今思うと、先生との出会いがなければ40歳まで現役を続けていられたかどうか。ましてや50歳まで現役を続けることができるなんて、リハビリに悩んでいた頃の僕には到底想像もつかないことでした。

ここまでで初動負荷トレーニングに興味を持たれた人もいるかもしれません。僕にはとても合っていたし、良いトレーニングだと思っています。

ですが、普通のフィットネスジムやトレーニングマシンで体を鍛えるのと同じように、継続することが何より大切だと思います。どこかに不具合があるからと初動負荷トレーニングをしたところですぐに結果が出るわけではありません。その点はご理解いただけたらと思います。

今までの連載の中でもお伝えしている通り、小さなことこそコツコツと! 習慣化し継続してこそ結果は出ると思います。毎日歩く、走る。腹筋や屈伸をする。関節の可動域を広げる、柔軟性を高めるという意味では、ストレッチをするのもいいでしょう。女性中心に長く人気が続いているヨガのスタジオに体験レッスンに行ってみるのも楽しいと思います。いろいろ試してみて、自分自身にあったトレーニングを見つけて続けてくださいね。

文/山本昌(やまもと・まさ)
昭和40年、神奈川県生まれ。野球解説者。32年間、中日ドラゴンズの投手として活躍し、平成27年に引退。近著に『山本昌という生き方』(小学館刊)。

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