朝早く目が覚めてしまったり、トイレに行くために夜何度も起きてしまう体質は、自分の努力でも改善できるものでしょうか?
「そのような経験が多い体質の人は、漢方では下焦の虚証(げしょうのきょしょう)である可能性が考えられます。もちろん漢方薬による治療もできますが、ご自身による生活習慣の改善でも体質改善につなげることができます」
どんな体質改善に励めばよいのでしょうか?
「いくつかポイントがあります。まず、服装に関しては、下腹部や下半身を冷さない事が重要です。股上の深い下着を選んだり、腹巻きでお腹を温めると良いでしょう。ズポンは足首の出ない裾の長いものがおすすめです。お腹が出てしまうような短い上着やローライズのボトムスはできるだけ避けましょう」
下腹部を温めるのが効果的なのですね。他にはどんなポイントがありますか?
「入浴法としては、足湯・腰湯が効果的です。全身浴では疲れてしまうような時には足湯・腰湯だけでもすると良いでしょう。下焦の虚証に関係するツボが足や腰にはたくさんあり、そこを温める事で下焦の虚を補う事ができます。
また、運動については、下半身を冷さない運動、忍耐力や集中力を要するような運動が適しています。冷たい水中や寒中の運動はできるだけ避けるか、冷さない工夫をするようにしましょう」
逆に言うと、これらのポイントとは反対のことは避けたが方が良いということでしょうか?
「その通りです。房事(ぼうじ)過度、過労、寒い環境、生冷飲食(生もの、冷たいものを飲食すること)、無理なダイエットといった生活習慣は、下焦の虚証を悪化させるものと言えますので、避けたほうが良いでしょう」
文/葉山茂一(はやま・しげかず)
漢方デスク株式会社代表取締役。漢方・薬膳の総合ポータルサイト「漢方デスク(http://www.kampodesk.com)」を企画・運営。
取材協力/宗形佳織(むなかた•かおり)
医学博士・薬剤師(漢方薬・生薬認定薬剤師)・鍼きゅう師。漢方デスクの薬膳アドバイザーを務める。
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