8月も中旬を過ぎましたが、まだ厳しい暑さが続いていますね。二十四節気でいう処暑を過ぎたころなので、朝夕は涼しい風が吹き始め、暑さがだんだんと和らいでくる気配を感じます。

前回は、食欲低下でお悩みの方向けの漢方薬について慶應義塾大学の渡辺賢治教授にお話をお伺いしましたが、今回は養生、つまり生活習慣やライフスタイルについて、医学博士の宗形佳織先生にお伺いしました。
食欲が低下しているときは、何に気をつければよいのでしょうか?

「第一に、胃腸を冷やさないようにすることが大切です。冷たいものの摂り過ぎで胃腸が冷えてしまうと機能が低下し、気(エネルギー)を作り出すことができなくなってしまいます。温かいものを食べて腰から下を冷やさない注意が必要です。胃腸の機能が低下し、気が不足してしまうと、気虚証(ききょしょう)という状態になります。前回紹介した、六君子湯(りっくんしとう)という漢方薬は、この気虚証に対する処方になります。このタイプでは、元気が出ない、身体がだるい、疲れやすい、などの症状があらわれやすくなります」
他にどのようなことに気をつければいいのでしょうか?

「どんなに丈夫な人でも、疲れがたまって食欲がなくなることもあります。現代人は不規則な生活、夜更かし、寝不足で『気虚』に陥ることが多い。適度に体を動かして充分に休息をとることが『気を充実させる』ために必要です」
気虚証の改善におすすめの食材はありますか?

「気を補う食材や、気を作り出す胃腸の働きを回復させる食材を積極的に摂ることで気を増すこと。これが『気虚証』には適しています。例えば、米、かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、キャベツ、鶏肉、牛肉などがおすすめです。
また、気を巡らせる食材を組み合わせることにより、気を補う効果が高まります。気を巡らせる食材としては、柚子、紫蘇、スパイス類、ハーブ類などの香りの良い食材が代表的です。調理法としては、煮る、蒸すなど油をあまり使用しない方法がおすすめです」

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