秋が深まり、肌寒い日が増えてきました。二十四節気では霜降(そうこう)を過ぎた頃であり、霜が降り始め、小雨がしとしと降り、モミジやツタが黄色くなる時期でもあります。皆様いかがお過ごしでしょうか?
これからの季節は空気が乾燥したり、日中でも気温が上がらなくなってきます。このような時候では血を補う、身体を潤す、身体を温めるような食事や生活習慣を心がけて養生する事が大切です。季節の変わり目ということもあり、いつもより抜け毛が気になる方もいるのではないでしょうか? 漢方的にはどのように対処したら良いのかを、慶應義塾大学の渡辺賢治教授に伺いしました。
抜け毛が多いというのは、漢方医学的にはどのような状態なのでしょうか?
「髪の毛のトラブルは、漢方医学では血が不足した血虚(けっきょ)の状態であると考えます。血は全身に栄養分を運ぶはたらきをしているため、血が不足していると、栄養分が全身の隅々にまで運ばれず、健康な髪の毛が育たなくなります。髪の毛の症状の他にも、血虚では身体の表面に症状が出やすく、肌の乾燥や爪の異常などもみられます」
血の不足でも髪の毛は抜けやすくなるんですね。その他にも原因はありますか?
「その他の原因としては、65歳以上の高齢であったり、特に男性型脱毛症においては老化現象が原因で抜け毛が多くなります。生まれ持ったエネルギーは年齢を重ねると減っていきますが、生活習慣や食事の内容次第で老化の進行を遅らせることはできます」