今年はちょっと違ったお花見に出かけようかと思いを巡らせていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。桜の追っかけをライフワークとしている女性トラベルライター「旅恋」の関屋がおすすめする、今すぐ出かけたい絶景桜名所の4回目です。
山形県南部の米沢盆地。ここに推定樹齢1200年の国指定天然記念物の伊佐沢の久保桜をはじめ、桜の巨木が20か所ほど点在する「置賜さくら回廊」があります。これらの桜を結ぶのは山形鉄道のフラワー長井線です。山形弁の車掌さんの解説を聞きながらこれらの桜を巡る旅は、心温まるものです。
置賜さくら回廊の南の起点は南陽市・赤湯温泉街の高台にある烏帽子山公園です。シダレザクラや、夫婦桜とよばれる2本の巨木の染井吉野、烏帽子山八幡宮のご神木のエドヒガンなど約1000本の桜が咲き、息もできないほどの圧倒的な存在感をみせています。伊佐沢の久保桜は東西約25mというエドヒガンの巨木で、桜の周囲には木道が整備されています。ほかに樹齢1200年の薬師桜、樹齢800年の釜の越桜、江戸末期から明治初年に植栽されたという白兎のしだれ桜など、桜好きにはたまらない名木が揃います。
古木の多くは雪解け後の農作業の時期を告げる種まき桜として、昔から人々の暮らしと密接に関わってきた歴史があります。それにしてもこれだけの桜が一度に楽しめるところは珍しく、それだけ自然環境のよい地域だということでしょう。見ごろは4月下旬頃。一度は訪ねてほしい桜名所です。
4回にわたりお届けした絶景桜名所、いかがでしたでしょうか。「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」と詠んだ在原業平のように、桜のない日本の春は考えられないほど、桜は私たちの心をかき乱します。思い立ったが吉日、さあお花見にでかけましょう!