6月も中旬を過ぎました。二十四節気でいう「夏至」を過ぎ、本格的な夏の到来を迎えるころでもあります。暦の上では夏季の真ん中にあたりますが、実際には梅雨の真っ盛りで、暑さのピークは1か月ほど先になります。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
前回は、昔の漢方医と漢方医学における病気のとらえ方についてご紹介しました。今回は、現代の漢方医と漢方薬局との違いなど、現代の漢方にまつわる疑問をひとつひとつ解決していきます。
まず、漢方医は西洋医と何が違うのか? という疑問をお持ちの人はいるのではないでしょうか?
慶應義塾大学の渡辺賢治先生にお聞きしました。
「日本には医師の免許は一つだけなので、西洋医も漢方医も同じ医師免許を持っています。
両者が大きく違う点は、診断方法です。
西洋医は、患者さんの症状や検査結果などをもとに『病名』を診断し、薬を処方します。
一方、漢方医は『証(しょう)』というものを決め、その証に合った漢方薬を処方します。
この「証」を決めるのが漢方医の腕の見せどころでもあります」
西洋医と漢方医では、病気の診断方法がまず違うのですね。
漢方医が証を決める上で重要なことは何なのでしょうか?
「問診は西洋医学でも診断の決めてとなるものですが、漢方医学において問診は特に重要です。なぜならば、西洋医学では客観的な指標として検査値や画像検査が重要視されますが、漢方医学は主観を重視する医学だからです。
漢方の場合、治療効果も検査値などではなく本人の自覚症状の変化を重視します。
ですので、問診にじっくりと時間をとるのが特徴の一つとも言えます」