文/鈴木拓也

厚生労働省の最近の調査によると、めまいに悩む高齢者は約3割にのぼるという。
症状に応じて、めまいには何種類かあるが、なかでも厄介なのが「浮動性めまい」。体がふわふわしたようなおぼつかなさを感じることから、「ふわふわめまい」とも呼ばれ、病院では原因不明と診断されることが多い。方々の診療科目を回ったあげく、治らないまま医療難民となってしまう人も少なくないという。
西洋医学では対処が難しいこの症状、だが、東洋医学では改善できる―そう説くのは、小塚高文さん。
月間600人が訪れる鍼灸院の院長である小塚さんは、著書『ふわふわめまいを自分で治す本』(自由国民社 https://www.jiyu.co.jp/shumiseikatsu/detail.php?eid=04199&series_id=s10)の中で、改善に導くセルフケアを提唱している。
はたしてそのセルフケアとは、どんなものか。今回はその一部を紹介しよう。
大きなポイントは衰えた骨盤底筋の強化
小塚さんによれば、ふわふわめまいの原因は「のぼせ」なのだという。
のぼせは、上半身が熱くなり下半身が冷えている状態をさす。いわゆる頭寒足熱とは逆で、健康には好ましくないとされる。例えば、消化不良、下痢、血行不良、冷え、息苦しいといった症状をもたらし、首・肩周辺の筋肉のコリを引き起こすこともある。
このコリが、脳に向かう血流の流れを悪くし、「多くのエネルギーや血液が頭に取り残されることで熱がこもる」。これが、のぼせの正体で、放置しておくとふわふわめまいが発症しやすくなる。
逆に考えれば、のぼせを解消すれば、コリもなくなり、ふわふわめまいも改善するという理屈になる。そのための第一歩として小塚さんは、骨盤底筋を鍛えることをすすめる。
骨盤底筋とは、文字どおり骨盤の底にある筋肉の総称。骨盤内の内臓を支えるとともに、「おなか全体の血行を促進」する役目も担っている。ここが、加齢や出産などで衰えてしまうと、下腹部の血行も悪くなり、のぼせが生じる。
そんな衰えた骨盤底筋を「蘇らせる」のが、「骨盤呼吸法」だ。やり方は以下のとおり。
1. イスに深めに座る。
2. 一度おじぎをする(下図参照)。

3. 上半身を座面に対して90度まで半身を戻す。
4. 足の間にクッションをしっかりはさみ、口をすぼめる。お尻の穴をキュッとしめる(下図参照)。

5. 「意識」をピンポン玉のようにイメージし、それを丹田に沈めていく感じを思い浮かべながら、息を細く長くゆっくり吐く。
6. 息を吐ききったら、自然に息を吸う(ピンポン玉が自然に上に浮かび上がるイメージで息を戻す感じ)。
4~6を10回繰り返す。
習慣化することで、弱っていた骨盤底筋が強化され、下腹部の血行も促進されるようになる。
めまいが起きたら風門のツボを温める
本書には、ふわふわめまいが起きてしまったときの対処法もいくつか掲載されている。
例えば、今の時期のような、まだまだ寒い季節。暖房の効いた室内から外に出たときは、本能的に体が力んで、首・肩のコリが悪化しやすい。すると、めまいの症状が出やすくなる。
その予防法として、マフラーが効果的。これによって首周りを寒さから防いでおける。また、手首や足首を冷やさないよう防寒対策もしておく。
それでもめまいが起きてしまったときは、風門のツボを温める。このツボは、首の付け根の肩の中央部(肩甲骨の間)にあり、服の上からそこに使い捨てカイロを当てる。その上部の後頭部には当てないように注意する。
逆に、急に暑くなってめまいが生じたときは、保冷剤や冷却ジェルシートを後頭部に当てて、冷やすといいそうだ。
入浴はシャワーだけで済ませない
上で紹介したようなセルフケアのほかに、日頃の生活習慣を改めることも必要だという。
最も大事なのは、血流と睡眠の改善。そのための「3つの柱」として「入浴」「運動」「食事」を、小塚さんは挙げる。
例えば入浴。面倒だからと、湯船に浸からず、シャワーだけで済ませていないだろうか。これでは、筋肉はほぐれず、血行も促進されず、さらには深部体温も上がらなくて、入眠しにくい体になってしまう。
そこで入浴時は、湯船に浸かるよう小塚さんはアドバイスしている。

上のイラストのとおり、湯温は40~41度のぬるめとし、のぼせを防ぐため半身浴で10~15分浸かる。なお夏場は、のぼせ対策として、湯上りに水シャワーを後頭部にかける。
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本書には、上で紹介したセルフケアを含め、ふわふわめまいを改善する様々な方法が網羅されている。このめまいに悩まされてきた人なら、一度読んで実践されることをすすめたい。
本書内イラスト:MICANO
【今日の健康に良い1冊】
『ふわふわめまいを自分で治す本』

定価1540円
自由国民社
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram(https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。
