必要なのは市販の磁気バンだけ。自宅でプロの鍼灸レベルを体感できるセルフケア

文／鈴木拓也

ちょっとだるい、頭が重い、食欲がないといった、よくある不調。

「数日で自然に治まる」と楽観していたものの、そうはならないことも。

少し不安になって医療機関に診てもらうが、「どこにも異常はないです」と言われて、かえって不安になる……。

自己治癒力を高めて未病を治す

東洋医学では、そうした病名のつかない不調が続く状態を「未病」と呼ぶ。放置すると、本当の病気になる恐れがあるため、未病の段階で治療することが重視されている。

東洋医学の１つの特徴は、当人の自己治癒力強化に重きが置かれている点だ。それを目的として、さまざまな治療法が存在する。

鍼治療もその一種であり、鍼で経穴（いわゆるツボ）を刺激して自己治癒力を促進。不調からの改善をねらう。ただ、この治療は専門性が高く、国家資格も必要で、自分で自分を癒すのには使えない。

そこで鍼の代わりに、市販の磁気バンを用いたセルフケアを提唱するのは、西住之江鍼灸整体院（大阪市）の白井天道院長だ。鍼灸師でもある白井院長は、父・雄彦さんが考案したこの手法を著書『すべての不調を自分で治す からだの地図帳』（SBクリエイティブ　https://www.sbcr.jp/product/4815623241/）にまとめている。

今回は、このセルフケアの一端を紹介しよう。

まずは頭頂部・足裏に刺激を与える

東洋医学では、人の生命を維持するのは「気・血・水（き・けつ・すい）」の３要素であるとされている。

このうち気は、目には見えないが、人が「元気に生きて行くエネルギー源」とされる。白井院長によれば、人体を流れる微弱な生体電流が、気の正体であるという。この生体電流＝気が、なんらかの理由で乱れると、気・血・水のバランスが崩れ不調が生じる。

そこで磁気バンの登場。これを気の出入り口である経絡に貼ることで、磁力の刺激により気・血・水の流れが整い、臓腑の働きを高めるという。

本書には、磁気バンをイヤホンのコードにつないで経絡に貼る方法と、磁気バンだけを使う方法が載っているが、ここでは後者の方法を取り上げる。

まずは、準備的なケアとして、頭頂部と足裏に刺激を与える。これには、気・血・水と五臓のコンディションを整え、続く磁気バンのケアをより効果的にする働きがある。

方法は以下の通り。

１. 頭頂部（鼻筋と耳の穴を結んだ線）のツボの「百会（ひゃくえ）」を、両手の中指で10秒押す。次に、百会より１cmほど前を、同様に10秒押す。この要領で、百会を中心に五角形を書くように全部で６カ所を押す。

２. 土踏まずの上のあたり（足全体の上、３分の１）にあるツボ「湧泉（ゆうせん）」を、両手の親指で10秒押す。百会と同じく、湧泉の周囲に五角形を書くように全部で６カ所を10秒ずつ押す。もう片方の足も同様に。

症状に対応するツボに貼るだけでOK

本書では、坐骨神経痛、腰痛、眼精疲労、鼻づまりなど、不調に応じた磁気バンのケアの仕方が掲載されている。共通するのは、該当するツボの上に磁気バンのN極を、その両隣にS極を貼るだけという簡単なものだ。

例えば、手首が痛む場合は、下図のように貼る。

対して、頭痛、不眠、ふらつき、めまいに効くのは、以下の貼り方となる。

貼るタイミングや貼り続ける時間に特に条件はなく、１日のうちで好きな時間帯に貼ってもいいし、そのまま外出しても、寝てしまってもかまわないそうだ。白井さんが「日々のケアは決して裏切りません」とアドバイスするとおり、地道に続けて辛い不調を改善していこう。

本書内イラスト：福場さおり

【今日の健康に良い１冊】
『すべての不調を自分で治す からだの地図帳』

文／鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram（https://www.instagram.com/happysuzuki/）に掲載している。