わたしたちはしょっちゅう、ちょっと嫌な気持ちを感じながら生きています。
家族から無神経なことを言われたり、新聞を読んでいて気がかりな情報が目に入り、「このままで大丈夫だろうか」と不安を感じたり……。もしくはふとした拍子に過去の失敗を思い出して、自己嫌悪感にさいなまれたり……。
ちょっとしたことから、何日も怒りや不安を持ち続けてしまうことまで、大小さまざまですが、思い続けていると苦しくなってきます。
できれば、このような嫌な気持ちを手放したいですよね。そのためには、いったいどうすればいいのか?
わたしの新著『ストレスと疲れがみるみる消える!1分間どこでもマインドフルネス』では簡単にできるマインドフルネス瞑想法を紹介しましょう。
■嫌な気持ちを手放す1分間ワーク
(1)まず最近感じた「ちょっと嫌な気持ち」を思い出してみましょう。
(2)次に1分間だけ目を閉じてお腹に両手を当ててください。
(3)その気持ちはそのままにしておいて、今度は鼻からゆっくりと息を吸い込んでお腹が最高にぷぅ~っとふくれる感じをしっかり両手で感じてください。
(4)最高にふくらみきったらゆっくりと息を吐き出しながら、お腹がぺちゃんこになったのを両手で感じてください。
この深呼吸タイプのマインドフルネス瞑想を10回ほど繰り返します。両手のひらでお腹が膨らんだり凹んだりする様子をじっくりと感じとりながら深呼吸するのがコツです。
1分間のワークを終えてみて、嫌な気持ちはどうなっていますか? おそらく最初に思い出したときよりも、はるかに小さくなっているのではないでしょうか。
■気づくことは自分を守る第一歩!
イライラや怒りを感じること、まだ見ぬ未来のことに対して不安におびえたり、過去に起こった出来事に対する自己嫌悪を感じたりクヨクヨ悩んだり、悲しんだりすること。
これらはみな、あなたからエネルギーを奪うストレス感情やストレス思考です。あなたがストレス感情(思考)に束縛されればされるほど、エネルギーがどんどん奪われてしまい、あなたの心も脳も疲れ果ててしまいます。
あなたの心や脳が疲れ果ててしまう前に、自分の心がストレス感情(思考)に巻き込まれいることに、まず「気づくこと」。それが非常に大切です。
今回ご紹介した深呼吸タイプの「マインドフルネス瞑想」を行うと、ストレス感情(思考)に取り込まれていたあなたの心を「今ここ」に取り戻すことができるようになってきます。
するとストレス感情(思考)から解放される時間を意図的に持つことができるため、しだいにその感情や思考が薄められたり、流れやすくなったりしていきます。これがマインドフルネス瞑想の持つ大きな効果のひとつです。
■なるべく“今ここ”を大切にすべし
「ストレスから解放される時間を持つだけではストレスの原因はなくならない」と考える方も多いでしょう。
確かに瞑想したからといって、ストレスの原因はなくなりません。ですが、ストレス感情に飲みこまれたままだと、目の前にある今の大切なことが疎かになってしまいます。
「嫌なことがあって、イライラしてつい家族にあたってしまった」「次の日の仕事が気になって休みが楽しめない」「失敗したことをクヨクヨ悩んで、人の話が頭に入ってこない」ということ誰でもありますよね。
これは、過去や未来のことに対するストレス思考にどっぷりと飲みこまれていたために、現在の今、ここの時間が犠牲になっています。
これはとてももったいないこと、そして怖いことでもあるのです。
なぜかというと今、ここを疎かにしているため、仕事の失敗や人間関係のトラブルが発生するリスクが高くなり、やがて二重にあなたを心配や後悔で苦しめることになっていくからです。
マインドフルネス瞑想の創始者であるブッタは「すべては無常である」と説きました。
「万物は変化する」というのは科学的にも真実です。今すぐ解決できなくても何かが必ず変化していきます。
だから、できるだけ落ち着いた感情で今、ここの現在を精一杯生きることが大切なのです。そのためにぜひマインドフルネス瞑想を賢く活用してください。
監修・構成/奥田弘美
取材・文/庄司真紀
イラスト/村山宇希