立っていると腰が痛む。歩くのは大丈夫だけど立ち止まると腰が痛い……。
慢性腰痛の方によくみられる症状ですが、これは大殿筋の衰えが原因かもしれません。
痛みが起こりにくい立ち方や、大殿筋をトレーニングする方法をご紹介します。
立っている時に腰が痛む理由
仕事で立ちっぱなしの時、家事で台所に立っている時、歩いていて信号で立ち止まった時、買い物でレジ待ちをしている時、など、動かないで立っていると腰が痛むのは、慢性腰痛ではよくみられる症状です。
これは立っている時に、腰やその周囲の筋肉に過剰に負荷がかかってしまったり、腰の筋肉が強い緊張をおこしてしまったりすると起こりやすい症状です。
腰は多くの筋肉により前後左右を支えられてバランスをとっています。
しかし、それらの筋肉の中でどこかの筋肉が弱くなってしまうと、他の筋肉に負担がかかってしまいます。
例えば、お神輿はたくさんの人で支えれば一人ひとりの負担は少なくてすみますが、人数が少なくなると一人の負担が増えたり、誰かにしわ寄せがいったりしてしまいますよね。
それが腰の筋肉におこると、痛みが生じるというわけです。
とくに、お尻の筋肉「大殿筋(だいでんきん)」がおとろえて弱くなると、それをカバーするために腰に負担がかかりやすくなります。
大殿筋の役割
大殿筋は、お尻の大きな丸みをつくる筋肉で、骨盤から大腿骨につながっています。骨盤や股関節の運動や安定に非常に大事な筋肉です。
直立歩行に重要な役割を果たす筋で、ヒトで特に発達しています。
人類はこの筋肉が発達したことにより直立二足歩行が可能となり、文明を発達させることができた、といっても過言ではありません。
つまり、人間が立って身体を支えるためには大殿筋の筋力が必要なのです。
しかし、現代生活では歩く機会が減ったり、座っている時間が長くなったりしたため、大殿筋が弱くなる傾向にあります。
そのため、立って身体を支えるのに腰の筋肉に負担がかかってしまうのです。
大殿筋を使った立ち方
大殿筋に力を入れるには、お尻の割れ目に紙を1枚はさむようにキュッとすぼめるようにして力を入れます。
大殿筋が弱っていると、これを立っておこなおうとしてもうまくできなかったり、感覚がよくわからなかったりすることがあります。
そのような場合は、次のように練習してみましょう。
- 両足をぴったりとそろえてまっすぐに立つ
- そこから、かかとをくっつけたまま両方のつま先だけ45度程度開く
するとどうでしょう。おしりがきゅっと締まる感覚がありませんか?
これが大殿筋に力が入った感覚です。このようにすると大殿筋を使った立ち方になり、腰の痛みを軽減することができます。
大殿筋のトレーニング
大殿筋の筋力を回復強化することで、立っている時の腰痛の改善に期待ができます。
大殿筋のトレーニングにはさまざまな方法がありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/)では、まずヒップリフトのトレーニングをおすすめしています。
以下を参考にして取り組んでみてください。
自宅で出来る! 腰痛トレーニングより(https://re-studio.jp/dvd/)
仰向けで膝を立て、踵をできるだけお尻に近づけます。
そこから、おしりを締めるようにしながら、3~5秒かけてゆっくり持ち上げ、1番持ち上がったところで1秒止めます。
この時に腰や脚に力を入れすぎないように、お尻を締めて大殿筋の力を使うことを意識してください。
1秒止めたらゆっくり降ろします。
お尻が下につかないところで止め、そこからまた上げていきます。
これを10回から30回ほど繰り返します。
ご注意)このトレーニングをおこなうことで痛みが出る、または痛みのためにこのトレーニング自体ができないようでしたらやめてください。
この記事があなたの腰の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。
また以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
腰痛を解消するためにトレーニングすべき3つの部位とその順番【川口陽海の腰痛改善教室 第120回】(https://serai.jp/health/1149253)
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拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html