腰痛を解消するにはトレーニングが不可欠です。
そのためには、どの筋肉をどんな順番でトレーニングするのが効果的なのでしょうか?
その方法を解説します。

腰や骨盤を支える筋肉が衰えると腰痛になる

腰痛の原因はたくさんあります。

またその原因がひとつだけということは稀で、とくに慢性的な腰痛の場合は様々な要因が絡まり合っておこっていることが少なくありません。

腰や骨盤を支える筋肉や筋力の衰えも、その大きな原因のひとつです。

人間の身体を家に例えるなら、腰や背骨は大黒柱のようなもの。

しかし家は1本の大黒柱だけで支えられているわけではなく、何本もの柱や壁で全体として支えられています。

もしそれらの柱や壁が弱くなったり無くなったりしたらどうなるでしょうか?

大黒柱が残っていたとしても、その負担に耐えられず、家を支えられなくなってしまうでしょう。

腰痛はそのような状態でおこります。

腰を支える筋肉はたくさんありますが、その一部が弱くなると、他の筋肉や背骨に大きな負担がかかり、やがて痛みをおこすようになってしまうのです。

腰痛解消に大事な3つの部位(筋肉)

腰痛を解消するために大事な部位(筋肉)は、3つあります。

(1)体幹インナーマッスル(腹横筋、骨盤底筋、多裂筋、横隔膜)
(2)大殿筋
(3)内転筋群

それぞれについて見ていきましょう。

(1)体幹インナーマッスル

インナーマッスルというのは、文字どおり体の内側、人体のやや深い部分にある筋肉のことです。

体幹のインナーマッスルにも細かくたくさんの筋肉が存在しますが、腰痛解消に大事なインナーマッスルとしては腹横筋(ふくおうきん)、骨盤底筋(こつばんていきん)、多裂筋(たれつきん)、横隔膜(おうかくまく)があります。

これらは4つの別々筋肉なのですが、同時に働くことで腹圧(お腹の中の圧力)を高め、体幹の内側から腰や背骨を支えるという役割をしています。

これらの筋肉が弱ると、腹圧で内側から腰を支える力が弱くなってしまうため、背骨やそのまわりの筋肉に負担がかかってしまい、腰痛をおこしやすくなってしまうのです。

トレーニングも4つの筋肉を同時におこなう形になりますので、本記事では一つの部位として扱いたいと思います。

(2)大殿筋

大殿筋(だいでんきん)は、お尻の大きな丸みを作っている筋肉です。

人間はこの大殿筋が発達したために直立して2本足で歩けるようになったと言われています。

骨盤や腰をまっすぐ立てて支えたり、股関節を支えたり、脚を後ろに蹴りだしたりする時に働く筋肉です。

大殿筋が弱くなると、骨盤や腰を支える力が弱くなってしまうため、腰痛をおこしやすくなってしまいます。

(3)内転筋群

内転筋群は、太ももの内側にある筋肉で、長内転筋(ちょうないてんきん)、短内転筋(たんないてんきん)、大内転筋(だいないてんきん)などの総称です。

これらの筋肉は、脚を閉じる時や、股関節や骨盤を支える時に働きます。

例えばイスに座る時に脚(膝)をぎゅっと閉じるようにすると、お尻や腰がぐっと固まって支えられるような感じがすると思いますが、その時に働いているのがこの内転筋群です。

内転筋群が弱ると、座っている時や立っている時に股関節や骨盤を支える力が弱くなるため、腰痛をおこしやすくなってしまいます。

これら3つの部位をトレーニングすることで、腰や骨盤を支える力が回復しますので、腰痛を解消する効果が期待できます。

トレーニングの順番

では、これらの筋肉をどのような順番でトレーニングをおこなったら良いでしょうか。

筆者の腰痛トレーニング研究所(https://re-studio.jp/)では、体幹インナーマッスル⇒大殿筋⇒内転筋群の順番でトレーニングしていくことをおすすめしています。

まず体幹インナーマッスルのトレーニングをおこなって、腹圧をうまくかけられるようになることが最も重要です。

なぜなら、腹圧をうまくかけられない状態で他のトレーニングをおこなうと、腰や背骨に負担をかけてしまい、かえって腰痛をおこしたり悪化させてしまったりする可能性があるのです。

体幹インナーマッスルは、腹圧によって身体の内側から背骨や骨盤を支えるのに対して、大殿筋は外側から骨盤や背骨や股関節を支え、内転筋群も外側から股関節や骨盤を支えています。

内側を支える力が弱い状態で、外側の筋肉をトレーニングするということは、例えるならふにゃふにゃの細い針金で作った骨組みに、粘土で人型の肉付けをしていくようなもの。

そのままではうまく肉付けもできませんし、立てたり動かしたりはとてもできません。

しっかりとした骨組みを作るように、腹圧を使って体幹を支える力を養ってから他のトレーニングをおこなうことがとても大事なのです。

それぞれの部位の具体的なトレーニング方法は、次回の記事で解説させていただきたいと思います。

この記事があなたの腰の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。

また以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛解消法をご紹介しております。
ぜひお読みください。

お尻を鍛えて腰痛改善! 大殿筋のトレーニング【川口陽海の腰痛改善教室 第115回】(https://serai.jp/health/1134892

腰痛改善には必須! 体幹インナーマッスルトレーニングとは?【川口陽海の腰痛改善教室 第104回】(https://serai.jp/health/1106038

動かないのは逆効果! 腰痛・坐骨神経痛を改善する歩き方【川口陽海の腰痛改善教室 第92回】(https://serai.jp/health/1080027

腸腰筋を鍛えて腰痛改善! 腰が痛くても安全なトレーニング法【川口陽海の腰痛改善教室 第86回】(https://serai.jp/health/1067156

腰痛・坐骨神経痛の原因は股関節! 股関節トレーニングで痛みを改善【川口陽海の腰痛改善教室 第81回】(https://serai.jp/health/1057841

拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。

文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html

腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(健康プレミアムシリーズ)川口陽海(著/文) 永澤守(監修) 発行:アスコム
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