太もも裏の痛みを取るツボ〈ハムストリングのトリガーポイント〉とストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第116回】

太ももの裏の痛みやしびれは、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などでよくみられる症状です。
とてもつらい症状ですが、太もも裏の筋肉『ハムストリング』をテニスボールでほぐしたり、ストレッチしたりすることで改善する場合があります。
その方法を解説します。

太もも裏の痛みの原因は筋肉＝トリガーポイント

まず次の画像を見てください。

あなたがもも裏の痛みを抱えている場合、この図のような赤いエリアに出ることが多いのではないでしょうか？

こちらは坐骨神経痛などでよくみられる痛みの出かたに似ていますが、神経が原因の痛みではありません。

この図は、ハムストリングというももの裏にある筋肉が、過緊張をおこしたときに出る痛みの典型的なパターンとなります。

筋肉が過緊張をおこすと筋肉内の血行が悪くなり、それだけで痛みやいわゆるこり感、筋肉が固くはったような不快感などを感じます。

過緊張というのは、文字どおり筋肉が過剰な緊張をおこしてこり固まった状態のことをいいます。

さらに過緊張が続くと、筋肉の中にさらに固いしこり状のポイントが生まれ、そこから強い痛みやしびれなどの症状があらわれます。

こうなってしまうと、その部分に負担がかかったり、力が入ったりすると刺激されて痛みが出ます。さらに悪化すると何もしなくても痛みやしびれが出ることもあります。

このような症状を筋筋膜性疼痛症候群（きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん）といい、その痛みの原因となるしこり状のポイントを『トリガーポイント』といいます。

トリガーポイントによる痛みは神経痛などと混同されてしまうことが多く、適切な治療をされないことでなかなか良くならない場合も少なくありません。

しかし、筋肉の緊張や血行不良が原因ですから、その部分をほぐすことで自分自身で改善することも十分可能です。

トリガーポイントについては本連載でもおなじみですが、以下の記事もぜひ参考になさってください。

腰痛や坐骨神経痛の原因にもなる「トリガーポイント」とは？【川口陽海の腰痛改善教室 第103回】（https://serai.jp/health/1104848）

ハムストリングのトリガーポイントをほぐす方法

筆者の腰痛トレーニング研究所（https://www.re-studio.jp/）では、ハムストリングのトリガーポイントをテニスボールなどでほぐす方法をおすすめしています。

硬球のテニスボールをご用意いただくか、最近では100円ショップなどでテニスボール大のマッサージボールなどが販売されていますので、そのようなものをご使用いただいても大丈夫です。

まず、以下の図でおおよそのポイントを覚えてください。

上の図の★部分のように、ももの裏の真ん中のラインを中心に、お尻側のつけ根から膝裏にかけて数か所のポイントがあります。

図では左側だけに★印をつけていますが、基本的にトリガーポイントは痛みの出る側にあると考えてください。右のもも裏に痛みがある方は、もちろん右側の同じような部分にあります。

また真ん中ラインから多少内側や外側にポイントがある場合など、個人差もあるということを知っておいてください。

では具体的なほぐし方ですが、イスに座っておこないます。ソファーなどではなく、座面が固めのイスが適しています。

イスに深めに腰かけて、痛む方の脚を軽く持ち上げて、まずもも裏のお尻に近い方（坐骨のあたり）の真ん中あたりにテニスボールを当ててください。

ボールを当てたら、脚をおろしながらボールにやさしく足の重みや体重をかけてみましょう。じんわりと指圧されているような心地よさがあればOKです。

あまりグリグリと刺激せず、やさしく体重をかけたらなるべく力を抜いてください。グリグリすると筋肉に力が入ってしまってほぐれにくくなったり、かえって痛くなったりすることがありますので、とくに慣れないうちは軽めにおこなってください。

１か所10秒程度当てたら、ポイントをずらしていきます。もう一度脚を持ち上げて、膝裏に向かって１cmずつずらすようなイメージでポイントを変えて、またやさしく体重をかける、ということを繰り返していきます。

すると、あまり効かない部分とすごく効く部分がみつかるのではないでしょうか。

ツボを指圧されているような痛気持ちいい感じがあれば、そこが治療点＝トリガーポイントです。

この効くポイントは個人差がありますので、はじめのうちは細かくボールを動かしながら探してみてください。

また日によってもポイントが変わる場合もありますし、続けていくことで効き方が変わってくることも多いです。はじめのうちは痛みが強くても、良くなってくると段々ボールを当てても痛みが少なくなってきて、それにともなって普段の症状も良くなってきます。

今日はどのあたりが効くかな～？　と探しながらおこなうといいでしょう。

※ボールを当てることでかえって痛みが出る、痛みが悪化する、または痛みのためにボールを当てることができないようでしたらやめてください。

ハムストリングのストレッチ

ももの裏の筋肉＝ハムストリングをボールでほぐしたら、ストレッチをおこなうとほぐれた状態を長く維持することができます。

またそれを日々続けていくことで、徐々に痛みやしびれなどの症状が良くなっていきます。

ハムストリングのストレッチもさまざまな方法がありますが、次のような方法をおすすめしています。参考にしておこなってみてください。

自宅で出来る！腰痛トレーニングDVDより（https://www.re-studio.jp/dvd/）

このストレッチでは、バスタオルなどを使用します。

仰向けになり、バスタオルを片脚のつま先あたりにかけます。

そこからバスタオルを引っ張るようにしながら膝を伸ばし、脚を上に伸ばしていきます。

適度に心地よく腿裏からアキレス腱が伸びたところで止め、楽に深呼吸しながら力を抜き、30秒～１分ほど伸ばします。

必ずしも高く上げる必要はありませんので、適度に心地よく伸びたらその角度で大丈夫です。

終わったら脚をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。

これを片側２～３回ずつおこなってみましょう。

※ご注意）痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。

この方法できつすぎる場合は、膝の裏を両手で持つ方法や、座ってタオルで伸ばす方法などもありますので、次の画像を参考におこなってみましょう。

膝を適度に軽く曲げるのがポイントです。

曲げすぎても筋肉（ハムストリング）が伸びませんので、痛気持ち良い、心地よい程度に伸びるくらいが良いと思います。

この記事があなたのもも裏の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。

また以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。

《狭窄症・坐骨神経痛》太もも裏の痛みやしびれを改善するストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第76回】（https://serai.jp/health/1046070）

腰痛や坐骨神経痛の原因にもなる「トリガーポイント」とは？【川口陽海の腰痛改善教室 第103回】（https://serai.jp/health/1104848）

腰・お尻・太ももの裏｜痛む部位別におこなう腰痛・坐骨神経痛改善ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第100回】（https://serai.jp/health/1096269）

これだけでOK！ 背骨矯正＜大の字ストレッチ＞で慢性腰痛を改善【川口陽海の腰痛改善教室 第97回】（https://serai.jp/health/1089887）

拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。

文・指導／川口陽海　厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ１万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい（発行：アスコム）」がある。
【腰痛トレーニング研究所／さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL：03-6457-8616　http://www.re-studio.jp/index.html