腰痛や坐骨神経痛の原因として、股関節の弱さが影響しているケースがあります。
そのような場合、股関節を強くすることで痛みが改善できます。
効果的な股関節のトレーニング法を解説します。
腰痛や坐骨神経痛の原因には様々なものがありますが、股関節の弱さや固さが影響しているケースはがよくみられます。腰痛や坐骨神経痛にともなって、次のような症状がみられる場合は、股関節に問題があるかもしれません。
◇あぐらをかくと、左右の膝の高さに大きな違いがある
◇座った時に、左右のお尻の当たり方(体重のかかり方)に違いがある
◇立っている時や歩いている時に足先の向きが左右で違う
◇股関節に違和感を感じる
筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)に来られる患者さんには、このような症状がよくみられます。このような場合、股関節の筋力強化や柔軟性の改善により、腰や脚の痛みが改善します。
股関節と周囲の筋肉
股関節は骨盤にある寛骨臼(かんこつきゅう)に大腿骨の骨頭がはまりこむかたちで構成される関節です。
また股関節の周囲には多くの筋肉が付着し、股関節や骨盤などを動かしたり支えたりしています。
股関節周囲の筋肉が弱くなったり固くなったりすると、左右のバランスが崩れます。するとその上に位置する骨盤や背骨のバランスまで崩れてしまい、腰痛などの原因になってしまうことがあります。
筋肉が原因で痛みがおこる
中殿筋や小殿筋、ハムストリングなど、股関節に付着する一部の筋肉は、弱くなったり固くなったりすると、強い緊張をおこしてしまい、そこから骨盤周囲や脚に痛みを引き起こしてしまいます。
次の画像を見てください。
【中殿筋のトリガーポイントによる痛み】
【小殿筋のトリガーポイントによる痛み】
【ハムストリングのトリガーポイントによる痛み】
これらの図は、それぞれの筋肉が強い緊張をおこした際に生じる痛みをあらわした図です。
筋肉が強く緊張すると、図の中の✕印の部分にトリガーポイントと言われる発痛点ができてしまい、そこから赤い範囲に痛みが生じます。
このような症状は病院ではたいてい坐骨神経痛などと診断されますが、実は神経の痛みではなく、トリガーポイントによる筋筋膜性の痛みなのです。逆に言えば、筋肉が原因ですから、筋肉の状態を改善しさえすれば痛みは改善します。
トリガーポイントについては本連載ではおなじみですが、詳しくは以下のページをご覧ください。
腰痛・坐骨神経痛のトリガーポイント治療(https://www.re-studio.jp/backpain/pg122.html)
股関節周囲の筋肉を強くするトレーニング
股関節のトレーニングには様々なものがありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、痛みのある患者さん向けに、まずはワイドスクワットのトレーニングをおすすめしています。
このトレーニングをおすすめする理由としては、膝や腰へかかる負担が少なく、ハムストリング、内転筋、殿筋、大腿四頭筋など多くの筋肉に効かせることができるからです。
以下を参考にやってみてください。
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVD(https://www.re-studio.jp/dvd.html)より
股関節周囲の筋肉を強くするトレーニング
1.足を広めに開き、つま先を45度くらいに外に向け、下腹を引っ込めるようにお腹を締めます。
2.膝に手を置くようにしながら腰を落とします。
できれば太ももが床と平行になるくらいまで腰を落とします。
そこまで落とすのが無理な場合は、膝が45度曲がるくらいまで頑張ってみましょう。
3.そこから腰を上げていきますが、内ももとお尻を締める力で戻るようにおこないます。
膝で踏ん張ってしまうと、殿筋、ハムストリング、内転筋に効きづらくなってしまいます。
内ももやお尻を意識して使うようにすると、それらの筋肉に効いてきます。
一動作をゆっくり5~10秒くらいかけ、はじめは1日に10~20回程度、慣れて来たら少しずつ回数を増やし、40~60回を目標に頑張ってみましょう。
はじめのうちは筋肉痛が出るかもしれません。その場合は1~3日に1回程度から様子を見て、徐々にトレーニング日数を増やしましょう。
※ご注意)痛みのためにこの動作ができない、またはこの動作をおこなうと症状が悪化する時はやめてください。
この記事が慢性腰痛、坐骨神経痛改善の一助になれば幸いです。
以下の記事でも腰痛改善法をご紹介していますので、ぜひお読みください。
《狭窄症・坐骨神経痛》太もも裏の痛みやしびれを改善するストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第76回】
(https://serai.jp/health/1046070)
腰痛改善には骨盤を整える股関節のストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第70回】
(https://serai.jp/health/1034491)
腰痛持ちに良い腹筋 悪い腹筋|本当に正しい腰痛トレーニングとは【川口陽海の腰痛改善教室 第69回】
(https://serai.jp/health/1032786)
ヘルニア・腰痛を改善! 寝ながらできる腰痛体操 誰でもできる5つのストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第66回】(https://serai.jp/health/1028037)
オススメの腰痛・坐骨神経痛改善ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第61回】
(https://serai.jp/health/1020567)
拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html