慢性腰痛の場合、腸腰筋の筋力が低下していることがよく見受けられます。
その場合、腸腰筋の筋力を回復することが腰痛の改善につながります。
痛みがあっても安全な腸腰筋のトレーニング法をご紹介します。

腸腰筋とは

腸腰筋とは、背骨(腰椎)から骨盤の中を通って大腿骨につながる大腰筋と、骨盤(腸骨)の内側から大腿骨につながる腸骨筋の2つの筋肉を合わせて呼ぶ筋肉の名称です。

主に膝を持ち上げるように股関節を曲げる働きをしますが、背骨や骨盤を支えて安定させる役割も担っています。

深い部分にあるため、深層筋や深腹筋ともいわれ、いわゆるインナーマッスルのひとつに数えられています。

腸腰筋は、運動不足やデスクワークなどの長時間同一姿勢、加齢などにより徐々に固くなったり弱くなったりしてしまいます。

腸腰筋が弱くなると、

◆姿勢が悪くなる(猫背、腰が曲がる)
◆歩きづらくなる(足が前に出にくくなる)
◆腰や殿部、大腿部などが動かしにくくなる
◆腰や殿部、大腿部などに痛みが出やすくなる

などの不調がおきやすくなります。

また腸腰筋自体が強い緊張(過緊張)をおこすと、発痛点=トリガーポイントが生じてしまい、それだけで腰や周囲に痛みをおこすこともあります。

上の画像は腸腰筋に発痛点=トリガーポイントが生じた際の痛む範囲をあらわしています。

画像の×印が発痛点=トリガーポイントの好発部位で、赤い部分がそこから痛みが生じやすい部位をあらわしています。

このように、腸腰筋の筋力低下や過緊張により腰痛などの不調をおこしやすくなってしまうのです。

しかし弱くなってしまっても適切なトレーニングをおこなうことで、十分に回復することができます。

発痛点=トリガーポイントについては、本連載ではおなじみですが、より詳しくお知りになりたい方は、以下のページもご覧ください。

腰痛・坐骨神経痛のトリガーポイント治療(https://www.re-studio.jp/backpain/pg122.html

おすすめできない腸腰筋トレーニング

腸腰筋を鍛えるにはどのようなトレーニングが良いのでしょうか?

ネットで「腸腰筋 トレーニング」と検索するとたくさんのトレーニング法が出てきますので、どれをおこなったらよいか迷ってしまいます。

気をつけなければいけないのが、紹介されているほとんどのトレーニングは健康な方向け、つまり腰痛のない方向けのものだということ。

また腰痛改善のためと紹介されているものでも、筆者からみると、症状の程度によってはかえって悪化してしまう可能性のあるものなども少なくありません。

とくにあまりおすすめできないのが、レッグレイズというトレーニングです。

レッグレイズは、上の画像のように仰向けに寝た状態から両足を上げ下ろしするトレーニングです。

このトレーニングは、腹筋や体幹の筋力がある程度あれば大丈夫なのですが、慢性腰痛の方などがおこなうと、腸腰筋や腹筋とともに腰や背中の筋肉を強く使ってしまい、かえって痛みが悪化するというケースがよく見られます。

そのため、腰痛改善のために初期に取り組むトレーニングとしてはおすすめできません。おこなうならば段階を踏んで、ある程度他のトレーニングで体幹の筋力を回復させてからおこなうのが良いでしょう。

おすすめの腸腰筋トレーニング

腸腰筋のトレーニングにも様々な方法がありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、

◎痛みのある方でも安全におこなえる
◎腹横筋や骨盤底筋などのインナーマッスルも同時に鍛えられる

ことから、コアヌードルという器具を使った足踏みトレーニングをおすすめしています。

コアヌードル
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVD(https://www.re-studio.jp/dvd.html)より

※このエクササイズをおこなう場合はコアヌードルが必要になります。

足踏みトレーニングの基本姿勢

このトレーニングでは、まず基本姿勢を作ることが大切です。

しっかりと腹部インナーマッスルに力を入れた基本姿勢でおこなうことで、より安全に効果的に腸腰筋や腹横筋、骨盤底筋などのインナーマッスルをトレーニングできます。

以下の1~4の要領で基本姿勢を整えてください。

1. 床にあおむけになり両膝を立てた姿勢をとります。
2. そこから腹式呼吸の要領で、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口をすぼめて天井に息を吹きかけるようにしっかりと吐き切っていきます。

この時に、おへその下あたり(下腹部)をへこますようにしながら息を吐いていきます。

下腹部をへこますようにしっかりと息を吐ききることで、腹横筋に力が入るようになります。

息を吸うのは軽く、吐くときはお腹の底からしっかりと吐き切るようにしましょう。

3. 息を吐きながら下腹部と肛門(骨盤底筋)を締める。

息を吐ききると同時に、下腹部(腹横筋)と肛門(骨盤底筋)を同時に締めます。

うまくしっかり吐き切りながら肛門を締められると、下腹部に強く力が入り、固くなるのがわかります。

またこの時に背中や腰や脚は力を抜いてください。

背中や腰や脚に力が入ってしまうと、かえって痛みを起こしやすくなりますので注意してください。

4.息を吐きながら下腹部と肛門(骨盤底筋)を締め、恥骨を引き上げて腰を丸め、床に押し付ける。

恥骨を引き上げるとは、みぞおちの方に向けて腹筋で引き上げるようにすること(下画像オレンジ矢印)です。

すると骨盤は後傾方向に回転します(黄色矢印)。

こうすることでさらに腹圧が高まりやすくなり、腰をしっかり支える姿勢をとりやすくなります。

この状態が基本姿勢となります。

足踏みトレーニング

基本姿勢から、両手を胸の前で合わせます。

そこから足踏みをするように、片脚ずつゆっくり上げて、ゆっくり下ろします。

はじめは低めにおこない、慣れて来たら段々脚を高く上げていきます。

脚を上げるときにも恥骨をみぞおちの方に引き上げたままで、腰に力が入って浮かないようにするのが大事なポイントです。

最大で90度程度まで上げます。

脚の上げ下ろしをおこなうと身体がかなりふらつきますが、ふらつかないようにお腹で踏ん張ってバランスを取ります。

お腹で踏ん張ってバランスをとることでインナーマッスルに力が入り、トレーニング効果が生まれます。

両手を胸の前で合わせておこなうのが難しい場合は、両手を身体の横におろしておこなってみましょう。

これを10~30回おこなってください。

腰や背中、脚などに余計な力みがあると、かえって痛みを起こすことがありますので、その点はご注意ください。

また効果が出てくるまでには少し時間がかかります。2週間から1ヶ月程度は根気よくトレーニングを続けてください。

このトレーニングをおこなうことで痛みが出たり、または痛みのためにこのトレーニング自体ができないようでしたらやめてください。

この記事が慢性腰痛改善の一助になれば幸いです。

以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。

《脊柱管狭窄症》 手術をしない運動療法|ストレッチと骨盤トレーニング【川口陽海の腰痛改善教室 第83回】(https://serai.jp/health/1061678

腰痛・坐骨神経痛の原因は股関節! 股関節トレーニングで痛みを改善【川口陽海の腰痛改善教室 第81回】(https://serai.jp/health/1057841

《狭窄症・坐骨神経痛》太もも裏の痛みやしびれを改善するストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第76回】(https://serai.jp/health/1046070

ヘルニア・腰痛を改善! 寝ながらできる腰痛体操 誰でもできる5つのストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第66回】(https://serai.jp/health/1028037

オススメの腰痛・坐骨神経痛改善ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第61回】(https://serai.jp/health/1020567

拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。

文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html

腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(健康プレミアムシリーズ)川口陽海(著/文) 永澤守(監修) 発行:アスコム
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