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人間誰だって、年を重ねても周囲から「若い」と思われていたいものです。ではいつまでも若さを保つために、一体何をどうすればいいのでしょうか?

肉体の老いはどうしようもないもの。しかし精神については、「あること」を続けるだけでいつまでも若さを維持できると、詩人の故・加島祥造さんが著書『毎日をいきいきと生きる100のヒント』(小学館文庫)のなかで教えています。

その「あること」とは、「ものごとに驚くマインドをもち続ける」ということ。一体どういうことでしょうか?

同書からの引用を交えつつ、加島さんならではの含蓄あふれる考え方をご紹介しましょう。

■人はものごとに驚き続ければ老化しない

ものごとに驚くことと老化を抑止することが、一体どのようにつながってくるのでしょうか?

加島さんは、「“センス・オブ・ワンダー”、つまり、ものごとに驚くマインドというものをもち続けていれば、私たちは老化しない。逆にいくら年が若くても、驚くことのできない人は、年寄りだと言ってもいい」と説きます。そして「私たちが今日、明日、あさって、と生きていくときに、ほんのちょっとでも驚きながら生きていければそれでいいんだ」とも語っています。

これは、日本人が外側から来たものを排除しないで受け入れる能力が高い、という話から出てきた発言。

「何か未知のものに出合ったとき、“良いか、悪いか”“おもしろいか、つまらないか”“どう思うか”なんて問われても、“はあ”とか“わからないわ”なんていう返事しかできない。そういう曖昧な態度が批判を受けることも多いですね。でも僕はね、日本人のそんなところが嫌いじゃないんです。そこに理性での判断を加えずに、とりあえず、いったん受け取っておく。そういう態度は、本当はすばらしいことのように思えるんです」(本書より引用)

しかし、なぜ驚くことで老化が食い止められるのでしょうか? それは、驚きで自分の可能性を広げ続けることができるからと、加島さんは説きます。

「自分のなかにないものと出会うっていうのは非常に大切です。自分が持っているものだけからの判断によってまわりを見ていると、自分中心の狭い世界からしかものを見られなくなってしまいます。そして、そういう狭い世界に留まり続けていることは、その人の可能性や能力を殺してしまうことになるんです」(本書より引用)

自分中心の狭い世界とは、視野の狭さとも言い換えられますね。驚きは、最高のアンチエイジングというわけです。

■ものごとに驚き続ける能力のたくわえ方

驚き続けるためには、受け入れる能力が大切。この能力をたくわえておけば、驚きは死ぬまで起こり続ける、と加島さんは説きます。

ただし、センス・オブ・ワンダーは、意識的につくり出せるものでも、教育などで誰かから与えられる能力でもありません。手に入れたいと思ったら、どんなことも区別しないようにする必要があるそうです。

「そのような“驚くマインド”をどうやって手に入れたらよいかっていうとね、“区別しないこと”だと思う。自分と他人を区別する、誰かと誰かを区別する、何かと何かを区別する。そういうあらゆる区別は、人をワンダーから切り離す。ワンダーっていうのは、合一なのだ。それを切ってしまったら、そこには“良い悪い”“きれい汚い”といった判断が生じる。
そりゃ、世の中を生きていくのに、ものごとを判断することは大切さ。
(中略)
他の国に対して偏見をもっていたら、その国の人のすばらしさに出合えない。階級という意識をもっていたら、自分より下の階級とされる人とわかり合えることはない。驚きには区別がない。このことを最後につけ加えておこう」(本書より引用)

他人は自分とは違う人間なのは当たり前のこと。それをいちいち「この人は違う」と感じてシャットアウトしてしまうと、驚きは得られません。いつまでも若々しくありたいと思ったら、受け入れる能力をたくわえるために、何かをいちいち区別することをやめてみませんか?

『毎日をいきいきと生きる100のヒント』の中には、他にも加島さんの「良く生きる知恵」がたくさん記されています。まさに「驚き」がつまった1冊です。

いつまでも若々しくありつづける秘訣を知りたければ、手に取ってページをめくってみてください。

【参考図書】
『毎日をいきいきと生きる100のヒント』
(加島祥造著、本体620円+税、小学館文庫)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09406159


※表紙をクリックすると試し読みできます。

文/藤岡あかね

 

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