日本人の国民病といっても過言ではない“腰痛”。腰痛の予防や解消には適度な運動が効果的であることはよく知られていますよね。

ところが、ある種のスポーツは、腰痛の予防、解消になるどころか、悪化させることにもつながりかねないというのです。

今回は、腰痛治療「さかいクリニックグループ」代表で柔道整復師の酒井慎太郎氏の著書『脊柱管狭窄症は自分で治せる! 』(学研プラス)を参考に、腰痛を悪化させるかもしれない3種のスポーツとその理由をご紹介します。

■1:ジョギング、マラソン

ジョギングやマラソンは、シューズさえあれば誰でも気軽に始められそうなスポーツ。ところが、飛んだり跳ねたりする動作を伴うため、腰に負担を与える可能性があるそう。

「ジョギングやマラソンは、腰痛の方にとっては、単に「歩くスピードを速めた運動」ではなく、「関節によけいな負荷を増やす運動」でもあります。体重と地面からの反発による強い衝撃を何度も受けるため、メリットを期待するより先に、デメリットのほうが心配です。」(本書より引用)

ちなみに、本書によれば、腰痛ケアには“走る”よりも“歩く”ほうが適しているとのこと。本格的なウォーキングをする必要はありませんので、できるだけ腰を伸ばして姿勢よく歩くことを心がけましょう。

何事も無理は禁物です。とくに腰痛の症状がすでに出ている人の場合は、長い時間歩くのではなく、10分間歩行を毎日続けるのがよいとのことです。

■2:ゴルフ、テニス

中高年に人気のゴルフも、腰痛悪化の一因に。体の片側だけを同じ方向にねじる運動であるため、腰に負担がかかる可能性があります。同様の理由で、テニスもおすすめできないとのこと。

「(体の片側だけを同じ方向にねじる)動きを何度も繰り返すうちに、腰椎と骨盤のねじれが強くなり、脊柱管も狭くなっていきます。熱心に練習すればするほど、腰への負担が大きく、体の左右のバランスを崩すことにもなるのです。」(本書より引用)

“脊柱管”というのは、背骨の内側の管のこと。これが狭くなると、そのなかを通っている神経(脊髄)が圧迫されて、腰痛につながるといいます。

もし、付き合いでどうしてもゴルフに参加しなければならないような場合は、コースに出る前後に風呂に入って腰を温めること、そして、ラウンド中の移動はできるだけ姿勢をよくすることを心がけましょう。

■3:水泳、水中ウォーキング

さまざまな健康効果があるとされる“水泳”や“水中ウォーキング”ですが、こうした水の中で行うスポーツにも、酒井氏は注意を促しています。

「確かに、関節への負荷が少なく、効率的に筋力をつけられるのでしょうが、低い水温で体が冷えてしまう点が問題です。たとえ温水プールでも、水温は33度程度で体温より低いため、体が冷えることは避けられません。」(本書より引用)

特に、腰痛のなかでも“脊柱管”が狭くなって引き起こされる“脊柱管狭窄症”の場合は、症状の悪化と血流が密接に関連しているので、水中で過ごすことによる冷えの悪影響が看過できないようです。

腰痛にとって、冷えは大敵です。水泳、水中ウォーキングよりも、毎日お風呂でしっかり体を温めましょう。39度くらいの少しぬるめのお湯に10分程度、首まで浸かることを本書では推奨しています。

夏場においてもシャワーだけで済ませず、きちんと浴槽に浸かって腰痛の予防、改善に努めましょう。

*  *  *

以上、『脊柱管狭窄症は自分で治せる! 』から、腰痛を悪化させるとされる注意すべきスポーツについてお伝えしました。

腰痛の予防、解消のために何か運動をされる場合は、とにかく“姿勢よく歩く”ことが効果的のようです。腰の痛みや違和感に悩まされている方は、十分に留意してください。

【参考図書】
『脊柱管狭窄症は自分で治せる!』
(酒井慎太郎著 学研プラス)

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文/中田綾美

 

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