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「いつまでも疲れが抜けない」「気が短くなった気がする」「食欲がない」……。その不調、あなたの心と体が休めていないサインかもしれません。

この記事では、自らも睡眠を変えたことで人生が変わった、睡眠コンサルタントの友野なおが、自分自身を幸福感で満たし前向きに生きるための“心と体の上手な休め方”をアドバイスします。

日本は、世界でも有数の「眠らない国」。OECDの調査でも、睡眠時間が先進国の中で2番目に短いことがわかっています(1位は韓国)。

自分を休ませることよりも仕事のスケジュールを優先しがちな国民性も、睡眠不足に拍車をかけています。かつての私自身を振り返っても、まず仕事の予定を組み、自分が楽しむ時間はその合間に、という感覚が無意識に根付いていたように思います。

しかし、生産性を上げるためには、心と体が十分休めていることが最も重要です。

そこで、自分の持っている資源を「お片づけ」してみましょう。「時間」「人脈」「心」「情報」「空間」を見直す「5大お片づけ」で、心と体を休ませるための精神的な余裕が生まれます。

■1:時間のお片づけ・・・使い方を見直してみる

「忙しくて休めない」というときに、まず見直したいのが時間の使い方。時間のように限りある資源は、とくに有効に使う工夫が必要です。

まず、1日の終わりに何にどのくらいの時間を使ったかを振り返ってみましょう。おおざっぱでかまわないので行動表をつくってみると、「テレビやインターネットを使っている時間が長すぎた」など可視化され、振り返りやすくなります。

無駄な時間の使い方に気づいたら、「やらないことリスト」をつくるのもおすすめ。「やらないこと」が決まれば、その分時間が確保でき、しっかり休むことができます。

■2:人脈のお片づけ・・・本当に必要なつながりを選び取る

現代はSNSなどで簡単に人とつながれる時代になりましたが、人脈の整理は、時間のお片づけにも通じるとても大切なことです。

つき合いで飲み会やイベントに参加したり、Facebookでそれほど親しくない友達に「いいね!」ボタンを押すことに縛られ、ストレスになってしまっては、せっかくの人脈も逆効果。

仕事上ではある程度割り切らなくてはいけないこともあると思いますが、プライベートでは本当におつき合いしたい人たち、心から尊敬し、信頼し、喜びを分かち合える仲間たちとの絆に焦点を当てましょう。愛情と信頼でつながっていることに「人と人のつながり」の本当の意味が存在しているのです。

■3:心のお片づけ・・・もっと“今”に集中する

私たちの頭の中は、常に不安や心配事が次から次へとめぐっています。

ですが、過去は変えられないから考えても仕方がないし、未来は誰にもわからないもの。過去や未来への心残りは思い切ってそぎ落とし“今、ここ”に集中すれば、気持ちはリフレッシュし、仕事へのモチベーションも高まって相乗効果が生まれます。

以下に挙げる「やすみかた」の精神を軸に、自分をいたわり元気に走り続けるためのエネルギーをチャージしていきましょう。

【や】=やりたいことができている「今」に集中し、嫌なこと(人)は一切脳から排除して考えない!

【す】=好きなものを食べたり、好きなものを鑑賞したり、好きな人と過ごしたり、自分の「好き」を大切にする!

【み】=「みんなはこうしている」という周りの意見は全く気にする必要なし! 自分がリフレッシュできることを楽しんで行うこと!

【か】=解放すること。身体や心、脳の疲れ、日頃のストレスや緊張から自分を解放してあげること!

【た】=「楽しいアンテナ」を磨いて、どんどん楽しいことが広がる生活を意識する!

■4:情報のお片づけ・・・デジタルデトックスのすすめ

情報過多な現代、私たちは常に情報にさらされています。

怖いのは、情報に振り回されて本来の自分の意見や想いを見失ってしまうこと。不必要な情報を取り除いて心を解毒・浄化する=デジタルデトックスで、情報の渦にのみ込まれないようにしましょう。

更新され続けるインターネットのニュースやSNSのタイムラインは、押し寄せる情報の最たるもの。また、睡眠の観点からは、夜のニュースで取り上げられるテロや殺人など暗い内容の情報で快眠が妨げられるおそれがあります。

目や耳に飛び込んでくる情報をきちんと選び、質を上げれば、新しい世界が切り開かれ、あなたの魅力をぐっと高めてくれます。

■5:空間のお片づけ・・・空間と気持ちはつながっている

散らかってものが乱雑に置かれた場所では、どこに何をしまったかがわからなくなり、探すのに時間がかかったり、結局見つからず新しく購入したりといった「ムダ」が生じます。

ほかにも意欲や自己肯定感、自己効力感が失われ、投げやりな気持ちになったりネガティブな思考にまどわされやすくなったりと、いいことはありません。

反対に、プライベートな空間やオフィスのデスク周りなど自分の身を置くスペースが片づいていると、頭の中も整理整頓でき、時間とお金の節約にもつながります。

空間のお片づけも、ここまで見てきたほかのお片づけと根本は同じ。量より質を重視し、自分にとって必要なものを選び取ることが、整理整頓の第一歩です。

ものには「捨てどき」があります。お片づけでは、ものを「捨てる」ことや「増やさない」ことにも注意しましょう。

「うまくいかない」と感じるときは、上手に休めていないとき。そして本来、すべての動物にとって「休む」とは「眠る」こと。「うまくいかない」と感じたとき、それはあなたが上手に眠れていないサインかもしれません。

私の著書『やすみかたの教科書』では、上手な睡眠のとり方やストレスを取り除き心をラクにする方法など、40の工夫をご紹介しています。正しい休み方を実践することで、明日が変わっていきます。

本書が1人でも多くの方の笑顔のきっかけになることを心より願っております。

監修・構成/友野なお
取材・文/酒寄美智子

指導/友野なお(とものなお)
睡眠コンサルタント。株式会社SEA Trinity代表取締役。科学でわかる ねむりの環境・空間ラボ主宰。自身が睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。日本睡眠学会、日本睡眠環境学会に所属。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、健康・美容市場における企業の商品開発やプロモーションのコンサルテーションを行う。

【参考図書】
『やすみかたの教科書』(友野なお・著、主婦の友社)

 

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