カルピス株式会社の創業者、三島海雲を救った酸乳
三島海雲(みしまかいうん・1878-1974)は、カルピス株式会社の創業者。大阪の寺院に生まれ、大学で仏教を学んだのち、中国へ渡る。帰国後に乳酸菌飲料の開発に取り組み、1919年に「カルピス」を発売した。
25歳のときに青雲の志を抱いて中国に渡った三島は、モンゴルで緬羊(めんよう)の改良に着手した。しかし事業はうまくいかず、現地で体調を崩して瀕死(ひんし)の状態となった。
そこで出会ったのが、モンゴルの遊牧民が日常食している酸っぱい乳「酸乳(さんにゅう)」だった。
酸乳を飲み続けたところ体調は回復。38歳で帰国してたのちは、「人々の健康に役立つおいしい乳酸菌飲料を作ろう」と開発に取り組み、試行錯誤ののちに「カルピス」の開発に成功する。
「カルピス」は仏教用語に由来している
そもそも「カルピス」という商品名も、仏教用語に由来している。
三島は自身の健康維持にも関心が高く、「天行健(てんこうけん)」と呼ぶ健康法を実践していた。天体の運行のように規則正しい生活を送れば健康を維持でき、商売もうまくいくというものだ。
晩年までローヤルゼリーなどの健康食品の開発に情熱を燃やした三島は、96歳の天寿を全うした。
文/内田和浩