太ももの外側のあるポイントをほぐすと、腰や殿部、脚などの痛みが改善します。置き鍼やお灸を使うのも効果的です。
腰痛や坐骨神経痛がなかなか治らない場合、痛む部分ではなく、離れた場所に原因があるかもしれません。
筆者の腰痛トレーニング研究所には、腰や脚の痛みがなかなか治らないという方がたくさん訪れますが、「え?そんなところ?」という場所に治療点(ツボ)がある場合があります。
その一つが、今回ご紹介する「大転子下ポイント」です。
「大転子下ポイント」は「だいてんしかポイント」と読みますが、筆者が便宜的につけた名前です。
大転子下ポイントは筋肉筋膜の交差点
「大転子」というのは、太ももの骨の外側の大きなでっぱりの部分です。
ズボンのポケットの入口辺りで、太ももの真横の部分を手で触ると、丸く固い骨の出っ張りを感じると思いますが、それが「大転子」です。
「大転子」には、殿筋(大中小殿筋)、大腿の筋(四頭筋など)、股関節深部の筋(梨状筋など)などたくさんの筋肉や筋膜が付着したり連結したりしています。
これらの筋肉や筋膜の一部が緊張すると、大転子を経由してつながっている他の筋肉に影響するため、脚の緊張が腰に伝わったり、腰や背中の緊張が脚に伝わったりします。
そのようにして、遠い部分の筋肉の緊張が腰や脚の痛みの原因になってしまうことがあるのです。
逆に、たくさんの筋肉や筋膜が交差するこのポイントをほぐすことで、なかなか治らない腰や脚の痛みが改善することがあるのです。
大転子下ポイントの位置
「大転子下ポイント」の位置は、「大転子」のやや下になります。
ズボンのポケットの入口辺りで太ももの真横の部分を手で探ると、丸く固い骨の出っ張りが見つかります。
それが「大転子」ですが、そこの1~3cmほど下の部分が「大転子下ポイント」となります。
上の画像でおおよその位置がおわかりになるでしょうか?
それほど小さなポイントではなく、ある程度の大きさ、直径3~5㎝程度の範囲がポイントだとお考えください。
指先で探ると、コリコリとスジ状の筋肉が触れたり、痛気持ち良かったり、人によってはかなり痛みを感じたりするかもしれません。
この部分には大腿四頭筋の外側広筋があり、トリガーポイントの好発部位でもあります。
トリガーポイントについては、本連載ではおなじみですが、より詳しくお知りになりたい方は、以下のページもご覧ください。
大転子下ポイントのほぐし方
もっとも簡単なほぐし方は、自分の手でほぐす方法です。
「大転子下ポイント」を、手のひらや親指などを使って押したり揉んだり転がしたりしてみてください。
またそこから膝に向かって太ももの外側のライン上を、同じようにほぐすのも良いでしょう。
押しながら探ると、とくにコリコリとスジ状にこっている部分や、痛気持ちいい部分、効く部分などがあると思います。
そのような場所はとくに良くほぐしてみてください。
ほぐしたあとに、その部分や腰や脚が軽くなったり、全体にホカホカと血行が良くなったりするのを感じるかもしれません。
そのような感覚があると、非常に効果がでます。
また、テニスボールなどを使ってほぐすのも効果的です。
以下の画像のように、テニスボールをポイントに当て、脚の重みをかけるようにして圧を加えます。
ぐりぐり転がしたりせず、優しく刺激する方が良いでしょう。
手でほぐすのと同様に、膝に向かって太ももの外側をたどるようにほぐすのも効果があります。
これでは物足りないようなら、身体を真横にして体重を乗せてしまう方法もありますが、やや痛みが出やすいので注意が必要です。
鍼やお灸も効果的
また、鍼やお灸などを使用するのも効果があります。
鍼は置き鍼(おきばり)というシールで貼るタイプの鍼が市販されていますので、それをこのポイントに貼ります。
「大転子下ポイント」だけでなく、そこから膝に向かったライン上に、2~3箇所貼っても良いでしょう。
すぐには効果を感じないかもしれませんが、1日以上たってから効果が出てくることが多いようです。
お灸も市販のものをこのポイントに使うと効果があります。
お灸もシールで貼って使用するタイプのものが市販されていますので、そういったものを使うと良いでしょう。
鍼と同じく、「大転子下ポイント」やそこから膝に向かったライン上に何箇所か据えるのも良いと思います。
※置き鍼やお灸は、使用説明をよく読み、注意してお使いください。
また合わせてストレッチなどのエクササイズをおこなうとより効果的です。
以下の記事でも腰痛改善トレーニングをご紹介していますので、ぜひお読みください。
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拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
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