・第12胸椎~第2腰椎周囲をほぐすのが効果的
・テニスボールを使い自分で簡単にほぐすことができる
前回の記事でもお伝えしましたが、最近筆者の腰痛トレーニング研究所には、「在宅勤務になってから腰が痛い」「外出自粛していたら腰痛になってしまった」というようなご相談がとても増えています。
運動不足になったため、腰や背中の筋肉、背骨などが固くなってしまい、腰痛になってしまったケースが多いようです。
でもご心配なく!
このようなケース、だけでなく、慢性の腰痛を改善する効果的なポイントがあります。
腰の筋肉と背骨をやわらかくすると腰痛が改善する
腰の筋肉や背骨をやわらかくすれば腰痛が改善します。
というのは至極当たり前といえば当たり前の話ですが、腰にはたくさんの筋肉がありますし、背骨もたくさんあります。
もっとも効果的なポイントはどこなのでしょうか?
それは、第12胸椎から第2腰椎の周囲です。
上の図は腰周囲の解剖図です。
点線の赤丸部分が、第12胸椎から第2腰椎の両脇の効果的なポイントです。
横に走る太い赤線は、おおよそベルトのラインくらいになります。
おへその真裏くらいの高さで、腰のクビレ(ウェスト)の部分に両手の4本指を当てたときに、親指があたるくらいの場所が、ちょうど点線の赤丸部分にあたります。
この部分は、脊柱起立筋、多裂筋、腰方形筋などの腰を支える筋肉が重なっている部分にあたります。
そのため、運動不足や長時間のデスクワーク、また逆に重いものを持ったりした時に負担がかかり、凝り固まって腰痛の原因になります。
筋肉が凝り固まって痛みの原因となる部分を、発痛点=トリガーポイントと言います。
【脊柱起立筋と腰方形筋、トリガーポイントの好発部位】
脊柱起立筋
腰方形筋
それぞれの図の✖印がトリガーポイントの好発部位で、赤い部分、腰や殿部などに痛みを起こします。
ちょうど第12胸椎から第2腰椎あたりに、トリガーポイントの好発部位があるのがおわかりになるでしょうか。
トリガーポイントについては本連載でもおなじみですが、より詳しくお知りになりたい方は以下のページもご覧ください。
また、これらの筋肉が固まってしまうと、背骨自体の動きも悪くなり、腰痛を起こしやすくなってしまいます。
とくにこの部分は背骨の自然なカーブの中で、前弯(ぜんわん)といってお腹側に緩やかなカーブを作り、腰の自然な反りを作る部分です。
ここが凝り固まって硬直してしまうと、背骨(腰)が反りすぎてしまったり、逆に腰を反らせる動きがうまくできなくなってしまったりします。
そうすると、その動きをカバーするために、より下位の腰椎や筋肉に負担がかかり、腰や脚の痛みの原因になってしまうのです。
しかし、脊柱起立筋や腰方形筋などの筋肉をほぐしてトリガーポイントを解消し、背骨の動きを良くすることで腰痛を改善することができます。
それにはテニスボールを使ったセルフマッサージがとても効果があります。
テニスボールで第12胸椎から第2腰椎周囲をほぐす方法
それでは実際にテニスボールを使ってほぐしてみましょう。
硬式のテニスボールをご用意ください。
また、先ほどの図をみてボールを当てる場所、第12胸椎から第2腰椎のあたりをイメージしてください。
おへその真裏くらいの高さで、腰のクビレ(ウェスト)の部分に両手の4本指を当てたときに、親指があたるくらいの場所です。
床に仰向けになり、両膝を立てます。バスタオルやヨガマットなどを敷くとより良いでしょう。
身体を傾けるようにして、腰のクビレより少し上、おへその真裏くらいの高さで背骨のすぐ脇にボールを入れ、ゆっくりと体重を乗せるようにしましょう。
腰のあたりにボールを当てようとすると、つい腰を持ち上げて上から乗っかってしまうかもしれませんが、この方法だといきなり強い刺激がかかりますので、あまりおすすめできません。
身体を傾けて優しく当てるようにしてください。
そして息を吐いて身体の力を抜いていきます。
とくにボールが当たるところの力をうまく抜くようにしてください。
多少痛みがあったりすると、つい当てている部分に力が入ってしまうと思いますが、そうすると筋肉が固まってうまくほぐれません。
あえて力を抜くようにすることで、奥の方までほぐすことができます。
グリグリと転がすように刺激するのは、痛みがある時にやると逆に痛みが増したりしますので、やらないようにしましょう。
うまくポイントに当たると、『痛気持ちいい』『ジーンと効く感じ』『ツボを押されている感覚』などがあります。
このような感覚を感じるところを探しながら、1cmずつくらいボールを動かしていきます。
ちょっとした位置やボールを当てる角度により、効く感じが変わると思いますので、「どのへんが効くかな?」とボールを当てながら探してみてください。
時間としては、
●1か所10~20秒程度
●全体でも5~15分程度
くらいから始めることをおすすめしています。
あまり長い時間おこなうと、その後で、または翌日などにかえって痛みが増したりしますので、はじめは短時間でおこなって様子をみてください。
短時間おこなって大丈夫なようでしたら、少しずつ時間を伸ばしてみましょう。
痛みが残ったり、あとで痛みが増したりするようなら、刺激のしかたが強すぎるか時間が長すぎますので加減してください。
ほぐしているときの感覚ですが、
●ほぐしている時に『痛気持ちいい』『ジーンと効く感じ』『ツボを押されている感覚』などがある
●ほぐした後に、そのあたりが『軽くなる感じ』『すっきりする感じ』『ホカホカする感じ』『じわっと血が巡る感じ』など良い感じがある
このような感覚があれば効果があります。
逆に
◆ほぐしている時に『すごく痛い』『嫌な感じや不快感』などがある
◆ほぐした後に痛みが残ったり、痛みが増したりする
このような場合は、うまくできていないか、またはテニスボールでほぐすのは適していないと思われますので、やめておきましょう。
以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
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腰痛・坐骨神経痛を自宅で改善!(その2)手軽に出来る3つの殿筋ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第39回】
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腰痛・坐骨神経痛の改善はストレッチから! 痛む部位別にわかる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第28回】
拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
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