文・料理再現/小野寺佑子

日本人が鶏卵を食べるようになったのはいつからでしょう? 記録が残っているのは江戸時代からといわれています。しかしながら、仏教の戒律の影響で、肉食は禁忌とされていたので、江戸時代前半は闘鶏を目的として飼われていた鶏からしか採卵できず希少なものだったそうです。

時代が下り、江戸時代後半になると、採卵を目的に鶏が飼育されるようになり、卵食は庶民の食卓に上がるようになってきました。

それでも、卵は高級品でした。江戸時代後期の風俗随筆『守貞謾稿』によると、茹で卵売りが大き目のサイズの卵1個を20文で売っていたとあります。蕎麦1杯が16文だったことを考えると……その価値がわかりますよね。

さて、今回はそんな江戸時代に発行された料理書『万宝料理秘密箱』から、「粕漬け卵」をご紹介します。作り方はいたってシンプルで、ゆで卵を酒粕に漬けるだけ。でもこれが実に旨いのです。

では、さっそく作ってみましょう。

【粕漬け卵の材料】は下記の通りです。

茹で卵(半熟) 2個
酒粕 150g
50g
青のり (お好みで)

まず酒粕に酒を加えてやわらかくしたものに、殻をむいた茹で卵を漬けこみます。このときラップを使うと、酒粕の量が少なくてすむのでおすすめです。

これをパックに入れて丸2日漬けこめば完成です。

切って皿に盛り付け、お好みで青のりをかけていただきましょう!

ひと口食べると、口の中に酒粕の芳醇な風味が広がります。のんべえのつまみにぴったりです!

ご紹介したレシピは、『万宝料理秘密箱』通りに作りましたが、正直なところ筆者はちょっと物足りなく感ました。そこで後日、塩とみりんを加えて再チャレンジしてみたところ、味がグッとしまってより美味しくなりました。

お好みの味つけで楽しんでみてください!

【参考文献】
『料理百珍集』(校註・解説 原田信男/八坂書房)
『江戸の料理と食生活』(編 原田信男/小学館)
『江戸料理読本』(著者・松下幸子/ちくま学芸文庫)
※分量や細かい作り方は原本に記載されていないため、筆者が作った方法でご紹介しています。

文/小野寺佑子
撮影/五十嵐美弥

 

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