みなさんは、子どもから「雨ってどうやって降るの?」と聞かれたら、どのように答えますか?

『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(著・荒木健太郎、太田絢子、佐々木恭子/日本文芸社)では、様々な天気についてのうんちくを教えてくれます。

今回は、『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』の中から、「雨はどのように降ってくる?」と「雨量の『ミリ』ってどういう意味」を取り上げます。

雨の正体は、雲の粒が成長したもの

雨や雪は簡単に降ってくるように見えても、実際は非常に複雑な過程を経ています。雲が生まれ、雨や雪となって地上に届くまでの舞台裏を、一緒に覗いてみましょう。

雲の発生には、大気中を漂うちりなどの微粒子「エアロゾル」が必要です。エアロゾルを核にして水蒸気が集まると、水や氷の極小の粒ができます(雲核形成・氷晶核形成)。この粒に水蒸気が凝結・凝華すると、雲粒や氷晶が成長します。雲粒の半径はおよそ0.01mmととても小さく、髪の毛の太さの5分の1ほどしかありません。しかし、実はこの小さな粒が約100万倍の体積にまで成長したものこそが、雨粒なのです。

凝結により雲粒の大きさに差が生じると、落下速度にも差が生まれます。すると粒どうしが衝突・併合して水滴は急速に成長し、雨粒が成長します。一方、気温0℃未満の雲のなかでは、凝華(昇華凝結)により氷晶は雪の結晶へと成
長します。さらに雪の結晶は、0℃以下でも液体の状態にある過冷却雲粒をくっつけながら落下すると霰(あられ)になります。こうしてできた雪の結晶や霰が融けることでも雨粒ができます。

このような過程を知ると、何気なく降る雨にも、自然の仕組みの奥深さが感じられるようになるかもしれません。

雨量の「ミリ」ってどういう意味?

天気予報で雨量が伝えられる際には、「ミリ」という表現が使われます。ミリは長さの単位であるmm(ミリメートル)を指し、雨量(降水量)は「降った雨が地面に溜まったと仮定した場合の水の深さ」を表しています。

例えば、30ミリの雨とは、水が地面に3cm溜まることを意味します。3cmでは長靴の底ほどの高さなので、大したことがないと感じるかもしれません。しかし、仮に東京都世田谷区(約58㎢)に30ミリの雨が降った場合、その水の総量は約17億4千万リットル、東京ドーム約1.4杯分に相当します。さらに、30ミリの雨が1時間という短い時間で降れば、その雨は気象庁の予報用語で「激しい雨」と呼ばれ、バケツをひっくり返したような勢いで降ります。このように短時間で降った雨は、周囲より低い場所に一気に流れ込むため、側溝が溢れたり道路が冠水したりするおそれがあるのです。

線状降水帯などによる集中豪雨では、これを上回る強さの雨が数時間にわたって狭い範囲に降ることがあり、大きな災害に繋がる場合もあります。地域により土砂災害などの危険度は異なりますが、雨量の数値から災害の危険を読み
取る力は、防災においても重要です。天気予報ではどれくらいの量の雨が降るかにも注目してみてください。

*  *  *

 眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話
著/荒木健太郎、太田絢子、佐々木恭子
日本文芸社 1,089円(税込)

荒木健太郎(あらき・けんたろう)
雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・博士(学術)。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲のしくみの研究に取り組んでいる。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『マツコの知らない世界』など出演多数。主な著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズ(KADOKAWA)、『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』(ダイヤモンド社)、『空となかよくなる天気の写真えほん』シリーズ(金の星社)などがある。

太田絢子(おおた・あやこ)
気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー。これまでにNHK松山やCBCテレビにて気象解説を務め、防災気象情報や地球温暖化に関する講演・執筆活動も行う。著書に『天気予報が楽しくなる空のしくみ』(朝日新聞出版)、編集協力に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズ(KADOKAWA)、気象監修に『RE:VISION ART PROJECT』(国連UNHCR協会)などがある。2023年10月からアメリカ・ロサンゼルスに在住。

佐々木恭子(ささき・きょうこ)
気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表・TeamSABOTEN(株)取締役。早稲田大学第一文学部卒業。民間気象会社で予報業務を担当し、気象予報士受験生向けのスクールを主催。YouTubeチャンネル「てんコロ.のラジオっぽいTV!」で気象の知識や楽しさを発信。著書に『天気予報が楽しくなる空のしくみ』(朝日新聞出版)、編集協力に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズ(KADOKAWA)、監修に『奇跡の瞬間!空の絶景100選』(宝島社)などがある。

※『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(著・荒木健太郎、太田絢子、佐々木恭子/日本文芸社)より、一部を抜粋してご紹介しています。

 

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