1875年(明治8年)に、初めて青森県庁に西洋りんごが植えられて150周年。
海外からもりんご狩り客が訪れる「りんご王国」となった。りんごのテーマパーク、りんごをはじめ青森の食材を使うガストロノミーホテルなど、その新しい魅力を訪ねる。
青森ウエルネス
ガストロノミーのホテル
ReLabo Medical Spa & Stay


青森市柳川1丁目1番地5号
電話:0177・62・0151
1泊ツイン朝食付き1万7000円〜 ディナーは1万6800円〜(別途予約)。
ガストロノミーとスパの融合
人生100年時代。旅においても「癒やし」や「健康」を意識する人が増えている。食や自然に触れ、体を整え、心を満たす。そんな旅先として注目を集めるのが、「りんご王国」青森だ。今年、りんご植栽150周年を迎えた。
JR青森駅東口ビル直結のReLabo Medical Spa & Stayは、医療と温泉、食を融合させた次世代型ウエルネスホテルだ。地域の食文化や、食の背景にあるストーリーを楽しむ観光スタイル「ガストロノミー・ツーリズム」に力を入れている。
ガストロノミーのテーマは「循環と再生」。上写真手前の前菜は、通常は廃棄されるりんごの芯を発酵させて発酵ウォーターを仕立て、ガストロバック(減圧加熱調理器)でヒラメに香味ごと封じ込めた。この一皿は、7月に青森で開催された全国知事会において高い評価を得た。コース料理のパンを頬張ると、驚くほどに風味豊かで軽やかだ。聞けば、「三内丸山遺跡から発見された酵母を使っています」と、シェフ。悠久の縄文文化の息吹が、現代の食卓に息づいている。歴史のロマンと健康志向が一体となった体験に、心身がゆっくりとほどけていく。
シードル醸造所とマルシェ(市場)が融合した
「りんごのテーマパーク」
A-FACTORY


青森市柳川1-4-2
電話:017・752・1890
営業時間:10時〜19時 無休(施設内各店舗の休みは要問)
手間暇かけたシードルづくり
続いて訪れたのは、青森駅前のA-FACTORY。青森りんごの魅力を凝縮した市場兼工房だ。ここで味わえるシードル(りんご酒)は、青森県産のりんごだけを使い、果汁を発酵させて、職人が一本一本丁寧につくっている。その丁寧さが豊かな香りと味わいを生む。

売り場では、真っ赤なりんご飴が目を引く。
「果実の表面の飴の中に小さな気泡が浮かぶのは、新鮮なりんごだからこそなんです」とは、案内してくれた運営グループ主任の吉野康太さん。飴の甘みと果実の酸味が口の中であわさる。屋台のりんご飴とは一味違う、おしゃれでリッチな味わいだ。

りんご狩り体験も楽しめる
弘前市りんご公園


さん。美空ひばりの『リンゴ追分』の歌碑がある丘の上からは、岩木山が望める。
弘前市大字清水富田字寺沢125
電話:0172・36・7439
営業時間:9時〜17時
定休日:無休
料金:無料(りんご狩りは100g100円、今年は11月24日までの予定)
80種の実りに出会う
弘前市の郊外に広がるのは、弘前市りんご公園だ。
「ふじや王林といったメジャーなものから、観賞用、珍しい品種まで、約80種のりんごを栽培しています」。そう説明するのは、施設を管理する弘前観光コンベンション協会の大瀬和臣さんだ。園内では、多様なりんごの樹々が、四季折々の表情を見せる。
春、マメコバチが花から花へと飛び交い、受粉を助ける。やがて夏の陽光を浴びて実が膨らみ、秋には赤や黄色に染まったりんごが枝もたわわに実る。収穫期にはりんご狩り体験ができる。果実をもぎ取る瞬間の手応えと香りは、まさに青森の自然そのものを味わう体験だ。
人生100年時代を生きる私たちにとって、旅は単なる娯楽ではなく、心身を整える大切な営みだ。歴史ある青森に育つりんごは、未来を健やかに生きるための力を静かに与えてくれる。ウエルネスの視点から見直す「りんご王国」への旅。健康と文化を同時に感じられる豊かな時間を約束してくれる。
楽しく美しい「りんごの競り」
弘果弘前中央青果株式会社


青森県・北海道道南エリアで「青森県・函館観光キャンペーン」を開催!
青森県内を巡る観光列車ひなび(陽旅)の特別運行を始め、雪景色の中を走るストーブ列車、温泉での雪見、伝統文化に触れる体験など、冬の青函エリアならではの旅へ。心温まるひと旅をどうぞ。
開催期間:2025年12月1日(月) ~ 2026年3月31日(火)

提供/ JR 東日本 文/片山 修










