文/石川真禧照(自動車生活探険家)
かつて4ドアセダンは人気車種だった。SUV全盛の時代になってもセダンを求める人は多い。初代の登場から60年を経て今なお改良を重ねる日産の4ドアセダン、スカイラインの魅力を探る。
近年、新たに登場する車は多人数が乗れるミニバンやSUV(多目的スポーツ車)が圧倒的に多い。かつては、ふたり乗りのスポーツカーやGTと呼ばれるスポーツ仕様のセダンを各社が揃えていた。
それらは評判が高く名車と謳れることもあったが、販売不振などを理由に車名を変えたり、生産中止になってしまった車種も多い。
そんな中、発売以来、車名はもちろん車の性格も変えずに半世紀以上も支持されている車がある。
1957年に初代がデビュー、今年で61年目を迎える日産スカイラインである。日本市場では4ドアセダンの人気が低迷しているが、昨年、13代目がマイナーチェンジ(小規模改良)された。
久しぶりに試乗したスカイラインは性能やデザインに磨きがかかり、“技術の日産、スポーツセダンの王者”という名声を感じさせる高性能な車に仕上がっている。
ハンドル操作の安定感は秀逸
特筆すべきはその先進性だ。安全性能はもちろん、走行性能も最新の技術が実用化されている。
走り始めて感じるのは、安定感のあるハンドルの動き。荒れた路面でも突き上げ感はなく、不快な振動も伝わってこない。直進性を維持するので操舵がじつに楽だ。交差点での右左折も、ハンドルの動きに遅れることなくタイヤは方向を変え、小気味よく旋回する。
これはハンドルの動きを電気信号に置き換えてタイヤの動きを制御するという、量産車としては世界初となる装置によるもの。ハンドルの動きに“遊び”は少ないが、スポーツセダンならではのキビキビとした動きは、スカイラインの大きな魅力である。
一時停止や信号をうっかり見落とす可能性があると、予め注意を促す
車の安全装備の進化は目覚ましく、自動ブレーキや全方位運転支援システムという言葉をよく耳にするようになった。それらを備えた車は車載カメラやレーダーなどで周囲の車の動きを検知し、衝突の危険があると車が判断すると警告灯やブザーなどで運転者に衝突回避の操作を促す。それでも運転者が減速できない時は自動でブレーキが作動し、衝突を回避したり、衝突時の被害を軽減させる。
日産は、前方車両のさらに前の車、つまり2台前の車の動きをレーダーでとらえて、減速したり警告を発する装置を開発。それを最新のスカイラインに搭載した。これも世界初となる技術である。
さらに、運転者の不注意で一時停止や信号を見落とす可能性があると車が判断すると、音声ガイドや画面表示で注意を促すという最先端の装備も用意する。これは通信によって取得した路上や交差点の情報を利用して行なわれる。
今回試乗した車種は、3.5L、V6ガソリンエンジンとモーターを備えるハイブリッド車。ほかに
4気筒2Lターボ付きのガソリン車もある。4輪駆動と後輪駆動を選べるが、前者はハイブリッド車のみの設定となっている。
全長× 全幅× 全高:4815×1820×1440㎜
ホイールベース:2850㎜
車両重量:1810㎏
エンジン/モーター:V型6気筒DOHC/3498㏄:交流同期電動機
最高出力:306PS/6800rpm:68PS
最大トルク:35.7㎏ -m/5000rpm:29.6kg-m
駆動方式:後輪駆動
燃料消費率:17.8㎞/ℓ(JC08モード)
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン 70L
ミッション:マニュアルモード付き7速自動変速機/span>
サスペンション:前:ダブルウィッシュボーン 後:マルチリンク
ブレーキ形式:前・後:ベンチレーテッドディスク
乗車定員:5名
車両価格:555万9840円(消費税込み)
問い合わせ:お客様相談室 0120・315・232
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文/石川真禧照(自動車生活探険家)
撮影/佐藤靖彦
※この記事は『サライ』本誌2018年8月号より転載しました。