取材・文/池田充枝
堀文子の画業の記録を「堀文子の仕事」として紹介するシリーズの第1回目の本展は、命のリアリズムを追求し、自然への畏敬と命あるものに注いできた温かい眼差しを通し、独自の表現世界で描いた「生命(いのち)」の形を紹介します。
2019年2月5日、100歳で永眠した日本画家、堀文子。
女子美術専門学校(現・女子美術大学)卒業後、東京帝国大学(現・東京大学)で農作物の記録係を務めていた頃の初期作品は、生命力溢れる植物を力強い表現で描いています。家族との別れの時は、四季の訪れとともに咲く花に哀しい思いを込めて、イタリア・トスカーナや軽井沢のアトリエでは、厳しい冬に氷の世界に埋もれた枯草の美しさや、やがて訪れた春には芽吹く命の息づかいを感じとり、作品に残しました。植物だけでなく、顕微鏡を通して見た微生物の姿にも興奮し、独自の世界観で描いています。
「どんな小さな虫や雑草にも命があり、想像を超えた美を持っている」(堀文子)
見るものを引きつける精緻な命の世界! 会場でじっくりご鑑賞ください。
【開催要項】
展覧会名:企画展 堀文子の仕事 生命を描く
会期:2021年11月18日(木)~12月8日(水)会期中無休
会場:ナカジマアート
住所:東京都中央区銀座5-5-9 アベビル3階
電話:03・3574・6008
開館時間:11時から18時30分まで
入場料:無料
http://www.nakajima-art.com
※「堀文子と大磯」展(2022年1月22日(土)~2月20日(日))が晩年を過ごした神奈川県大磯町の大磯町郷土資料館(電話:0463・61・4700)で開催されます。
取材・文/池田充枝