見ておきたい!京都「二条城」特別公開中の門と櫓の観賞ポイント

文/萩原さちこ

古都京都の文化財を構成する17の遺産の1つとして、世界遺産にもなっている二条城(京都府京都市)。東大手門と東南隅櫓が今、特別公開中です。

東大手門は二条城の正門で、観光客の出入口にもなっている巨大な櫓門です。1950(昭和25)年以来、約67年ぶりに本格修理工事が行われ、今年3月に終了。現在、東大手門修復完成記念として内部が特別公開されています。内部公開されるのは14年ぶりです。

今回の修理では、主に屋根瓦の全面葺き替え、大壁の漆喰塗り直し、錺金具の金箔押し直し、建具修理が行われました。約24,500枚の瓦のうち、取り替えたのは約85パーセント。瓦は1662年(寛文2)の瓦が中心で、その後の修理で取りかえられたとみられるものもあれば、より古い瓦も残っていたそうです。

東大手門は、徳川家康が1603(慶長8)年に建造したときには現在と同じ二階建てだったとみられています。1615(慶長20)年6月14日の祇園祭巡行のようすが描かれた元和年間(1620年頃)製作の『洛中洛外図屏風(池田本)』(林原美術館所蔵)には、櫓門が描かれています。

現在の二条城は、3代将軍家光が後水尾天皇を迎える際に大改修された姿ですが、東大手門もその際に二階建てから平屋建てに建て替えられたようです。『洛中洛外図屏風(歴博F本)』(国立歴史民俗博物館所蔵)には、現在とは異なる薬医門が描かれています。その後に建て直されたのが現在の東大手門で、このとき再び2階建ての門になったとみられます。

公開中の内部には、東大手門で使われていた瓦のほか、国宝・二の丸御殿の釘隠しとして使われている飾金具を特別に展示。大広間、黒書院、遠侍・式台、白書院のものが並べられています。

東大手門は防御機能が施されているのがポイントで、もちろん床面には防御のための石落としも。外堀に面する多門塀には狭間が切られ、鉄砲狭間と矢狭間の構造が明らかになっています。格子窓には、芯木の外面だけに厚さ1ミリの鉄板が張られていたこともわかりました。

一方、東大手門と同じく重要文化財である東南隅櫓も、同時公開されています。かつての二条城には四隅に隅櫓が建っていましたが、現存するのは東南隅櫓と西南隅櫓の2棟のみ。いずれも、3代家光の時代に建てられたものです。

東南隅櫓の特徴は、出窓に石落としを設け、格子窓を矢狭間として使用し、横矢を掛けられるように出窓を張り出たせていることです。鴨居に竹釘が並んでいるのは火縄銃の火縄を掛けるため。かつてこの櫓が「鉄砲倉」と呼ばれていたことからも、戦闘に備えた櫓だったことがわかります。

層塔型の櫓なので通柱はなく、2階は1階よりひと回り小さい構造となっています。1階から見上げると、武者走り(廊下)の中央に2階の柱が載る土台が確認できました。

内部の公開は期間限定で、2017年7月31日まで。ぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。

【今日の名城】
『二条城』(元離宮二条城)
■所在地/京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
■アクセス/JR京都駅から地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」から地下鉄東西線に乗り換え「二条城前駅」下車
http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/nijojo/

文/萩原さちこ(はぎわら・さちこ)
城郭ライター・編集者。小学2年生で城に魅せられる。青山学院大学卒業後、広告代理店や制作会社を経て独立。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演、講座など行う。おもな著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『日本100名城めぐりの旅』(学研プラス)、『お城へ行こう!』(岩波書店)、『図説・戦う城の科学』(SBクリエイティブ)、『江戸城の全貌』(さくら舎)など。 東京都生まれ。公益財団法人日本城郭協会学術委員会学術委員。 公式サイト「城メグリスト」http://46meg.com/