全国に点在する国宝を訪ねて「歴史に触れる旅」５選【土偶・仏像編】
気がづけば４月。そろそろ、ゴールデンウィークの予定を考え始めている人も多いのでは。旅行の計画を練るのも楽しみのひとつですよね。行先に悩んだ時は、日本各地に点在する国宝を巡ってみるのはいかがでしょうか。
そこで『サライ.jp』に掲載された、国宝を取り上げた記事をご紹介します。今回は国宝に指定された土偶と仏像をまとめてみました。寺社の拝観時間、施設やお店の営業時間や価格などのデータは変更になっている場合がありますので、各所へはご確認のうえお出かけください。
■逆三角形の体格が勇ましい中空土偶｜茅空（北海道・函館市縄文文化交流センター）
現在、国宝に指定されている「土偶」は日本全国で５体しかありません。北海道初の国宝である「南茅部の中空土偶」は、道南の漁業の町、南茅部町（現函館市）のとあるジャガイモ畑で発見されました。「南茅部の中空土偶」から２文字を拝借して、愛称を『茅空』（カックウ）と言います。
『茅空』を常設展示しているのは、函館市縄文文化交流センター。函館を含む道南・道央地方と東北３県（青森、秋田、岩手）は、屈指の縄文遺跡密集地帯で、2021年、北海道・北東北の縄文遺跡群として世界文化遺産登録されました。『茅空』とともに縄文文化を巡る旅をするのも面白そうですね。
■若き運慶が試行錯誤の末に生み出した美しき仏像｜大日如来坐像（奈良県・円成寺）
春日山の原始林に覆われた柳生街道の隠れ里の古刹・円成寺の国宝・大日如来坐像。若き日の運慶が、11か月を費やして作り上げた、檜材の寄木造りで像高98.8cm。大正10年の修理の際に台座蓮肉部天板裏面から運慶の名を含む墨書銘が確認されました。
普通の仏像に比べ鼻根が低く、日本人の顔を写したかのような表現、目には当時最新の技法であった水晶の玉眼が嵌入されているなど、この像の特別な表現はすべて若き運慶の試行錯誤の跡なのだそうです。
若き日の運慶の傑作！国宝・円成寺大日如来坐像を新緑の奈良に訪ねる
■文字通り千もの手を有する菩薩坐像｜十一面千手千眼観世音菩薩坐像（大阪府・葛井寺）
大阪府藤井寺市にある葛井寺。11世紀末には諸堂の荒廃がはなはだしく、これを嘆いた藤井安基が伽藍の修復に尽力し復興したことにより、別名が藤井寺で、地名も藤井寺（市）となりました。
葛井寺の本尊『十一面千手千眼観世音菩薩坐像』は、春日仏師親子が造立し、725年に聖武天皇の臨席のもと、行基菩薩が開眼した日本最古の千手観音像として知られています。ふつうは42本の手がある千手観音像ですが、こちらの仏像は文字どおり千の手（正確には1041本）を備えています。
葛井寺｜本当に千の手がある千手観音像が坐す寺【真言宗御室派の名刹をたずねる1】
■菅原道真が自ら彫った仏像彫刻の傑作｜十一面観音立像（大阪府・道明寺）
開基は聖徳太子、土師寺という名の氏寺としてはじまった道明寺。かつては、五重塔も備えた四天王寺式の七堂伽藍を有する大寺でしたが、兵火などによりその多くを焼失してしまいました。
本尊の十一面観音立像（国宝）は、菅原道真が36歳の時に自ら彫った、藤原時代の仏像彫刻の傑作とされています。土師寺は後に、道真公の号「道明」をとって道明寺と改められました。
道明寺｜聖徳太子霊跡にして菅原道真ゆかりの古刹【真言宗御室派の名刹をたずねる4】
■直接、触れることができる貴重な国宝｜鎌倉大仏（神奈川県・高徳院）
「鎌倉の大仏」で名高い高徳院は、「日本三大大仏」のひとつに数えられる鎌倉の観光名所です。鎌倉大仏像は中は空洞になっており、「胎内拝観」として、左脇の下にある入り口から中に入ることができます。
胎内では御尊体に触れることは許されていますが、これは奈良の大仏を含め、他の国宝・重要文化財の仏像ではありえないこと。「掌で得た触覚から、御尊像に対する理解や信心を深める参拝者もおられる」という高徳院住職のはからいだそうです。
高徳院｜美男で名高い「鎌倉の大仏さん」を訪ねる【鎌倉名刹紀行４】
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風薫る５月。連休でなくても旅に出るには良い季節です。国宝とその歴史に触れる旅に出かけてみませんか。
文／編集部
