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ペルーのコンドル湖で発見されたミイラの謎|219体のミイラと2000体以上の人骨を収容するレイメバンバ博物館

文・写真/原田慶子(海外書き人クラブ/ペルー在住ライター)

チャチャポヤス・レイメバンバ博物館とミイラのお宿カサ・マルキ

ペルー・アマゾナス州南部のチャチャポヤス地方。“チャチャポヤ=雲(または霧)の民”の名の通り、うっそうとした雲霧林が広がる雨の多い地域だ。1996年の秋、その日はいつになく激しい雨が降っていた。雷鳴が轟き、閃光が闇を切り裂く。一条の稲妻が小高い山に囲まれた「コンドル湖」の岸辺にその手を伸ばし、周囲の木々をなぎ倒した。数日後、放牧にやってきた地元の農民が、コンドル湖の対岸に現れた“赤い何か”を偶然見つける。それはチャチャポヤ時代の墳墓「チュルパ」の一部だった……

レイメバンバ村から馬で10時間の距離に位置する「コンドル湖」全景

レイメバンバ村から馬で10時間の距離に位置する「コンドル湖」全景

世界の考古学者を驚かせた、雲霧林でのミイラ発見

紀元800~1470年にかけてアマゾナス州一帯に栄えた「チャチャポヤ文化」。その代表的な遺跡には、“北のマチュピチュ”あるいは“第二のマチュピチュ”として名高い「クエラップ遺跡」が挙げられる。

 “北のマチュピチュ” “第二のマチュピチュ”と称される「クエラップ遺跡」

“北のマチュピチュ” “第二のマチュピチュ”と称される「クエラップ遺跡」

チャチャポヤ文化は、その独自の埋葬方法でも有名だ。断崖のくぼみに漆喰や石材を使って墓を作り、そこに死者を葬ったのである。クエラップ遺跡を中心に、北部では人型をした「サルコファゴ(石棺)」が、南部では「チュルパ」もしくは「マウソレオ(霊廟)」と呼ばれる家型の墳墓が作られた。その多くはスペイン人によって破壊されてしまったが、今も当時の風習を伝える貴重な墓所がいくつか残っている。

人型をした「サルコファゴス・デ・カラヒア(カラヒアの石棺)」

人型をした「サルコファゴス・デ・カラヒア(カラヒアの石棺)」

家形の「マウソレオス・デ・レバッシュ(レバッシュの霊廟)」。コンドル湖で発見されたチュルパはこのタイプだ。

村人からチュルパの中に多数のミイラがあるという報告を受けたものの、考古学者たちは懐疑的だったという。ミイラ作りやその保存に何より欠かせないのは乾燥した気候だ。そしてここは“チャチャポヤの地”である。「こんな湿度の高い地域で、ミイラが保存できるわけがない」というのが、当時の専門家たちの共通認識だった。

しかし、1997年にコンドル湖を訪れた考古学調査隊のメンバーは、破壊されたチュルパ内部に散乱した大量のミイラと人骨、そして考古学遺物を目の当たりにする。これまでの常識を覆す「雲霧林でミイラ発見」のニュースは、瞬く間に世界を駆け巡った。

調査隊が到着した時には、すでに盗掘者によって荒らされていた。

調査隊が到着した時には、すでに盗掘者によって荒らされていた。

500年以上前のミイラが残っていた秘密は、チュルパを取り巻く特殊な局所気候にあった。発見時、石灰岩のくぼみに造られたチュルパの内部が涼しく乾燥していたことから、調査隊はこの場所が天然の保冷庫として機能していた可能性が高いと推論した。だが、盗掘者による無分別な破壊と略奪によって、築造当初の環境は大きく変化してしまっていた。調査隊が到着した時には、すでに腐敗し始めたミイラもあったそうだ。ミイラ研究で実績のあったミイラ研究センター(セントロ・マルキ)が調査に乗り出し、被葬者の回収作業が始まった。レイメバンバ村郊外にある「レイメバンバ博物館」には、これらの貴重なミイラが保存されている。

219体のミイラと2000体以上の人骨、世界最大のキープコレクションを誇るレイメバンバ博物館

レイメバンバ博物館
ディスカバリーチャンネルやオーストリアなどからの寄付により2000年に完成した「レイメバンバ博物館」。緑に囲まれた広々とした敷地には、カフェテリア、スーベニールショップ、会議室などが併設されている。展示室は「チャチャポヤ時代」(800~1470年ごろ)、インカ征服期の「チャチャポヤ-インカ時代」(1470~1533年ごろ)、博物館の目玉である「ミイラの部屋」、「現代の風俗・民俗学」の4区画に分かれ、パネルや模型も多く見ごたえのある博物館だ。

レイメバンバ博物館の「ミイラの部屋」

レイメバンバ博物館の「ミイラの部屋」

チャチャポヤ-インカ時代のミイラ。ノルウェーの画家ムンクの「叫び」は、1889年のパリ万博に展示されたペルーのミイラにインスパイアされた作品という説もある。

チャチャポヤ-インカ時代のミイラ。ノルウェーの画家ムンクの「叫び」は、1889年のパリ万博に展示されたペルーのミイラにインスパイアされた作品という説もある。

やぁ~」とでも言いたげなチャチャポヤ時代のミイラ包み(ファルド)。チャチャポヤの人々は、ミイラ包みの顔の部分に故人に似せた刺繍を施していた。

「やぁ~」とでも言いたげなチャチャポヤ時代のミイラ包み(ファルド)。チャチャポヤの人々は、ミイラ包みの顔の部分に故人に似せた刺繍を施していた。

チャチャポヤ-インカ時代のキープ(結縄)。レイメバンバ博物館には32本のキープが保管されており、出自が明確且つ一か所から出土したキープコレクションとしては世界最大。

チャチャポヤ-インカ時代のキープ(結縄)。レイメバンバ博物館には32本のキープが保管されており、出自が明確且つ一か所から出土したキープコレクションとしては世界最大。

【Museo Leymebamba】
住所:Av. Austria s/n, San Miguel, Leymebamba
URL:http://museoleymebamba.org/

ミイラが遊びにやってくる「カサ・マルキ(ミイラの館)」

コンドル湖のミイラの調査・研究には、ペルー文化人類学の第一人者ソニア・ギジェン博士を始めとする世界各国の専門家が参加した。レイメバンバ博物館建設と並行し、当初は研究室を兼ねた研究者用宿泊施設として建てられたのが「カサ・マルキ(ミイラの館)」である。博物館の敷地内という見学には最高の立地を誇るこの館、現在は「オスペダヘ・ルラル・カサ・マルキ(田園のお宿 カサ・マルキ)」として一般の宿泊客にも開放されている。

オスペダヘ・ルラル・カサ・マルキ」。豊かな自然と、自家栽培のオーガニック野菜やハーブをふんだんに使った料理が自慢。

「オスペダヘ・ルラル・カサ・マルキ」 豊かな自然と、自家栽培のオーガニック野菜やハーブをふんだんに使った料理が自慢。

シンプルながら、研究者の宿泊施設とは思えないゆったりした造り。チャチャポヤ文化を象徴する装飾品がよく似合う。

シンプルながら、研究者の宿泊施設とは思えないゆったりした造り。チャチャポヤ文化を象徴する装飾品がよく似合う。

ミイラを調査するためのX線検査室。現在も使用されている。

ミイラを調査するためのX線検査室。現在も使用されている。

毎朝は焼きたてパンと地元産のチーズやヨーグルト、アボカド、手作りオートミール、季節のフルーツを使ったフレッシュジュースなどが味わえる。薫り高い自家焙煎オーガニックコーヒーと一緒にどうぞ。

毎朝焼きたてパンと地元産のチーズやヨーグルト、アボカド、手作りオートミール、季節のフルーツを使ったフレッシュジュースなどが味わえる。薫り高い自家焙煎オーガニックコーヒーと一緒にどうぞ。

レイメバンバは野鳥の天国。バードウォッチャー垂涎の「コリブリ・コラ・デ・エスパトゥラ(オナガラケットハチドリ)」を始めとする珍しいハチドリや、フクロウに会えるかもしれない。

レイメバンバは野鳥の天国。バードウォッチャー垂涎の「コリブリ・コラ・デ・エスパトゥラ(オナガラケットハチドリ)」を始めとする珍しいハチドリや、フクロウに会えるかもしれない。

「カサ・マルキ」のオーナーは、ペルー生活10年以上という日本人女性の作田文子(さくた・あやこ)さん。考古学や歴史学に造詣の深い文子さん、夕食時に食堂の暖炉を囲んで伺う話は興味深いものばかりだ。そんな彼女が、コンドル湖のミイラたちはとてもフレンドリーだと教えてくれた。

「このカサ・マルキには、ミイラ研究の専門家たちがよく滞在されます。するとミイラたちは『おや、この人はここにずっといるのかな?どんな人かな?』って覗きに来るんですよ。半年ほど前にいらしたブラジル人の研究者も、ミイラの洗礼を受けたそうです。夜にふと誰かに見られているような気がしたと思ったら、突然金縛りにあったと。驚いたけど、不思議と怖くはなかったそうです。ここのミイラは好奇心が旺盛だって、逆に話が盛り上がるんですよ」

文子さん自身もミイラらしい影を何度も見たことがあるという。「ここに来てからというもの、ミイラたちに見守られているなと感じることは多いですよ。だから彼ら(ミイラ)にはいつも感謝の気持ちでいっぱいなんです」と文子さん。

レイメバンバ博物館でミイラと対面し、カサ・マルキでミイラに見守られながら眠る。そんなミイラ三昧の日々が楽しめる場所は、世界でもそう多くはないだろう。

文子さんと愛犬のエルクレス。予約状況によるが、時間があれば文子さん自身が博物館の案内をしてくれるそうだ。

文子さんと愛犬のエルクレス。予約状況によるが、時間があれば文子さん自身が博物館の案内をしてくれるそうだ。

【Hospedaje Rural Casa Mallqui】
住所:Av. Austria s/n, San Miguel, Leymebamba
URL:https://www.casamallqui.com/

文・写真/原田慶子(ペルー在住ライター)
2006年よりペルー・リマ在住。『地球の歩き方』(ダイヤモンドビッグ社)や『トリコガイド』(エイ出版社)のペルー取材・撮影を始め、ラジオ番組やウェブマガジンなど多くの媒体でペルーの魅力を紹介。海外書き人クラブ(http://www.kaigaikakibito.com/)所属。

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