219体のミイラと2000体以上の人骨、世界最大のキープコレクションを誇るレイメバンバ博物館

レイメバンバ博物館
ディスカバリーチャンネルやオーストリアなどからの寄付により2000年に完成した「レイメバンバ博物館」。緑に囲まれた広々とした敷地には、カフェテリア、スーベニールショップ、会議室などが併設されている。展示室は「チャチャポヤ時代」(800~1470年ごろ)、インカ征服期の「チャチャポヤ-インカ時代」(1470~1533年ごろ)、博物館の目玉である「ミイラの部屋」、「現代の風俗・民俗学」の4区画に分かれ、パネルや模型も多く見ごたえのある博物館だ。

レイメバンバ博物館の「ミイラの部屋」

レイメバンバ博物館の「ミイラの部屋」

チャチャポヤ-インカ時代のミイラ。ノルウェーの画家ムンクの「叫び」は、1889年のパリ万博に展示されたペルーのミイラにインスパイアされた作品という説もある。

チャチャポヤ-インカ時代のミイラ。ノルウェーの画家ムンクの「叫び」は、1889年のパリ万博に展示されたペルーのミイラにインスパイアされた作品という説もある。

やぁ~」とでも言いたげなチャチャポヤ時代のミイラ包み(ファルド)。チャチャポヤの人々は、ミイラ包みの顔の部分に故人に似せた刺繍を施していた。

「やぁ~」とでも言いたげなチャチャポヤ時代のミイラ包み(ファルド)。チャチャポヤの人々は、ミイラ包みの顔の部分に故人に似せた刺繍を施していた。

チャチャポヤ-インカ時代のキープ(結縄)。レイメバンバ博物館には32本のキープが保管されており、出自が明確且つ一か所から出土したキープコレクションとしては世界最大。

チャチャポヤ-インカ時代のキープ(結縄)。レイメバンバ博物館には32本のキープが保管されており、出自が明確且つ一か所から出土したキープコレクションとしては世界最大。

【Museo Leymebamba】
住所:Av. Austria s/n, San Miguel, Leymebamba
URL:http://museoleymebamba.org/

ミイラが遊びにやってくる「カサ・マルキ(ミイラの館)」

コンドル湖のミイラの調査・研究には、ペルー文化人類学の第一人者ソニア・ギジェン博士を始めとする世界各国の専門家が参加した。レイメバンバ博物館建設と並行し、当初は研究室を兼ねた研究者用宿泊施設として建てられたのが「カサ・マルキ(ミイラの館)」である。博物館の敷地内という見学には最高の立地を誇るこの館、現在は「オスペダヘ・ルラル・カサ・マルキ(田園のお宿 カサ・マルキ)」として一般の宿泊客にも開放されている。

オスペダヘ・ルラル・カサ・マルキ」。豊かな自然と、自家栽培のオーガニック野菜やハーブをふんだんに使った料理が自慢。

「オスペダヘ・ルラル・カサ・マルキ」 豊かな自然と、自家栽培のオーガニック野菜やハーブをふんだんに使った料理が自慢。

シンプルながら、研究者の宿泊施設とは思えないゆったりした造り。チャチャポヤ文化を象徴する装飾品がよく似合う。

シンプルながら、研究者の宿泊施設とは思えないゆったりした造り。チャチャポヤ文化を象徴する装飾品がよく似合う。

ミイラを調査するためのX線検査室。現在も使用されている。

ミイラを調査するためのX線検査室。現在も使用されている。

毎朝は焼きたてパンと地元産のチーズやヨーグルト、アボカド、手作りオートミール、季節のフルーツを使ったフレッシュジュースなどが味わえる。薫り高い自家焙煎オーガニックコーヒーと一緒にどうぞ。

毎朝焼きたてパンと地元産のチーズやヨーグルト、アボカド、手作りオートミール、季節のフルーツを使ったフレッシュジュースなどが味わえる。薫り高い自家焙煎オーガニックコーヒーと一緒にどうぞ。

レイメバンバは野鳥の天国。バードウォッチャー垂涎の「コリブリ・コラ・デ・エスパトゥラ(オナガラケットハチドリ)」を始めとする珍しいハチドリや、フクロウに会えるかもしれない。

レイメバンバは野鳥の天国。バードウォッチャー垂涎の「コリブリ・コラ・デ・エスパトゥラ(オナガラケットハチドリ)」を始めとする珍しいハチドリや、フクロウに会えるかもしれない。

「カサ・マルキ」のオーナーは、ペルー生活10年以上という日本人女性の作田文子(さくた・あやこ)さん。考古学や歴史学に造詣の深い文子さん、夕食時に食堂の暖炉を囲んで伺う話は興味深いものばかりだ。そんな彼女が、コンドル湖のミイラたちはとてもフレンドリーだと教えてくれた。

「このカサ・マルキには、ミイラ研究の専門家たちがよく滞在されます。するとミイラたちは『おや、この人はここにずっといるのかな?どんな人かな?』って覗きに来るんですよ。半年ほど前にいらしたブラジル人の研究者も、ミイラの洗礼を受けたそうです。夜にふと誰かに見られているような気がしたと思ったら、突然金縛りにあったと。驚いたけど、不思議と怖くはなかったそうです。ここのミイラは好奇心が旺盛だって、逆に話が盛り上がるんですよ」

文子さん自身もミイラらしい影を何度も見たことがあるという。「ここに来てからというもの、ミイラたちに見守られているなと感じることは多いですよ。だから彼ら(ミイラ)にはいつも感謝の気持ちでいっぱいなんです」と文子さん。

レイメバンバ博物館でミイラと対面し、カサ・マルキでミイラに見守られながら眠る。そんなミイラ三昧の日々が楽しめる場所は、世界でもそう多くはないだろう。

文子さんと愛犬のエルクレス。予約状況によるが、時間があれば文子さん自身が博物館の案内をしてくれるそうだ。

文子さんと愛犬のエルクレス。予約状況によるが、時間があれば文子さん自身が博物館の案内をしてくれるそうだ。

【Hospedaje Rural Casa Mallqui】
住所:Av. Austria s/n, San Miguel, Leymebamba
URL:https://www.casamallqui.com/

文・写真/原田慶子(ペルー在住ライター)
2006年よりペルー・リマ在住。『地球の歩き方』(ダイヤモンドビッグ社)や『トリコガイド』(エイ出版社)のペルー取材・撮影を始め、ラジオ番組やウェブマガジンなど多くの媒体でペルーの魅力を紹介。海外書き人クラブ(http://www.kaigaikakibito.com/)所属。

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