小樽駅での乗り換えは約20分。何かができる時間じゃないが、このくらいの乗り換え時間がちょうどありがたい。5分以内の乗り換えは便利なようだが「次の列車に乗車したら席が一杯」ということがよくあるので、便利すぎるのも困るのだ。
「乗換がないこと」もありがたいが、乗換はちょうどいい気分転換になる
小樽駅は、旅情という言葉が似合う。札幌では小降りだった雨が少し激しくなってきた。だがこの方が駅の旅姿を高めてくれるようだ。
「車窓」ではないけれど、本日の「絶景」候補はこの小樽駅の風景だ。
白い車両が停まっているのが4番線、屋根の向こうは5番線。プラットホームの無い3番線を挟み、2、1番線となる。国鉄時代、ホームの番号は駅長室に近い側から1,2,3,4の順番につけられていたのだが、小樽駅はいちばん遠いホームが1番線になっていた。何やら運行システムの関係らしいが、少々面白い現象だ。
小樽を出発し、塩谷、蘭島と雨の中を進む。座席からはあまり展望が期待できないので、運転席後ろの通路から前方の景色をたのしませてもらう。貫通扉の窓に当たる雨粒が美しく景色をにじませながら流れていく。雨の日ならではの楽しみだ。
長万部行きの気動車は2両編成。どちらの車両も片側に2人掛け+もう片側に4人掛けのボックスシートという座席配置。座席の数を確保すると同時に、立ち席のスペースも確保するというもので、北海道に多いタイプである。
ほぼ満席だった座席、ニッカウヰスキーの工場がある余市で、かなりの人が下車をする。車内に残ったのは、気楽な服装の人たち十数名。いったいどこまで行くのだろう。
最前部の座席には映画「トイストーリー」のキャラクターがいた。バッグの柄なのだが、なかなかの存在感だ。持ち主は旅行姿の女性2人組。
隣のボックスのカップルは実によくしゃべる。とてもとても楽しそうに。出発地は札幌で、目的地は札幌だという。彼らが使っていたのは、北海道では週末に特定エリアの普通列車が乗り放題になる「土日散歩きっぷ」。「青春18きっぷ」と使い方はほぼ同じだが、ほぼ通年で週末用に発売されている。この切符を2枚使い「道南一日列車の旅」なのである。
ツーショットのシャッターを押してあげて、こちらもワンショット。あとはふたたび2人の世界へ、お幸せに。
さて、函館本線の旅は続く。