《1日目》人吉駅 14:38 → 熊本駅 17:14

SL人吉に乗車してさっそく昼食。人吉駅で買った「栗めし」(1100円)と、「山彦かしわ飯」(1100円)ファニーなデザインだが、味は本格派。

車内で購入したのは「おごっつお弁当」(500円)。人吉の国宝・青井阿蘇神社の祭礼で食べられていた弁当を再現したという。おかずの味付けとご飯のバランスがほどよい絶品。

それにしても、少々食べ過ぎである。

途中の坂本駅では約10分停車。機関車を見学に先頭を訪れた。ちょうど客室乗務員さんが機関士さんたちに冷水のサービス。かつてSLが牽引した特急列車でも、食堂車からの差し入れがあったらしい

SL人吉の最後部と最前部は展望車両。いちばん良い席は子供用のミニシートだ。展望室はフリースペースなので追加料金なしで誰でも利用できる。

人吉駅から約11時間余りの乗車で熊本駅に到着。その手前にある熊本総合車両所では試験運転中の、長崎新幹線用フリーゲージトレインが姿を見せていた。

おしゃれなカラーリングだが技術的にクリアできない問題が大きかったらしく、2017年6月、計画見合わせの方針が発表されてしまった。

そして熊本駅に到着。枕崎駅を始発列車で乗車してから、約2時間半。超ローカル線、観光列車、SL列車と初日のコースは実に賑やか。その上、各駅の乗り継ぎ時間もゆったりあったおかげで、途中下車して駅前散歩を楽しむこともできた。

このまま、鹿児島本線で北上すれば今日中に九州を出ることもできそうだが、急ぐことは目的じゃない。熊本まで来たからには熊本城を訪れることにした。

敷地に入るのはやはり少し心の準備がいった。城内の緑地には巨石が並び、各所に崩落の跡が見える。隅石が残りの建物を支えている戌亥櫓(いぬいやぐら)を目にしたときは、やはりいささかショックであった。

崩れた石垣の石には数字が書かれており、この番号を元に組めば石垣が再現できるという。現場で聞いた話によると、以前の補修の際に記入されたというとで、復元への貴重な手がかりになるという話だった。まだあと何年かかるかわからないが、ぜひ復旧させてほしいと強く感じた。

さあ、今日はここ熊本の街で一泊して、2日目の旅はまた熊本駅からスタートだ。

<2日目に続く>

文・写真/川井聡
昭和34年、大阪府生まれ。鉄道カメラマン。鉄道はただ「撮る」ものではなく「乗って撮る」ものであると、人との出会いや旅をテーマにした作品を発表している。著書に『汽車旅』シリーズ(昭文社など)ほか多数。

【実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅】
※ 1日目《枕崎駅~熊本駅》
※ 2日目《熊本駅~宮島口駅》
※ 3日目《宮島口駅~名古屋駅》
※ 4日目《名古屋駅〜戸狩野沢駅》
※ 5日目《戸狩野沢温泉駅~只見駅》
※ 6日目《只見駅~鶴岡駅》
※ 7日目《鶴岡駅~ウェスパ椿山駅》
8日目《ウェスパ椿山駅~函館駅》
9日目《函館駅~旭川駅》

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